六訂版 家庭医学大全科 「大気汚染による呼吸器病」の解説
大気汚染による呼吸器病
たいきおせんによるこきゅうきびょう
Respiratory disease due to air pollution
(中毒と環境因子による病気)
どんな病気か・原因は何か
大気汚染の原因となる物質には、
●硫黄酸化物
SOxの主な成分は、二酸化硫黄(SO2)と三酸化硫黄(SO3)です。これらの化学物質は、石炭や石油の燃焼によって発生し、水溶性が大きいので、吸収されると大部分は上気道で吸収され、鼻粘膜、喉頭、気管支を刺激し、慢性気管支炎や気管支喘息(ぜんそく)の原因になります。
●窒素酸化物
NOxは石炭の媒煙や自動車の排ガス中(ガソリンなどの有機物が高温で燃焼する時に発生)に存在する化学物質で、主な成分は、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)です。NOは大気中ですみやかに酸化されてNO2になります。NO2は水溶性が小さく容易に
●一酸化炭素
自動車の排ガスやたばこの煙に含まれます。血液中でヘモグロビン(Hb)と結合し、カルボキシヘモグロビン(COHb)を形成する結果、酸素(O2)の運搬障害を生じ、組織(とくに脳)の酸素不足(頭痛や物忘れなど)を引き起こします。
●浮遊粒子状物質
●光化学オキシダント
大気中のSOxと炭化水素が強い紫外線により光化学反応を起こすことによって生成されます。主な成分は、オゾン(O3)、アルデヒド(RCHO)、パン(RCO3NO2)です。これらは、水溶性が高く、酸化作用の強い化学物質で、眼やのど、皮膚などを刺激し、眼の異物感や痛み、
症状の現れ方
①気管支喘息
大気汚染により、発作の誘発、頻度の増加、症状の悪化が起こります。主に夜間から早朝にかけて
②慢性気管支炎
痰を伴う咳が続き、大気汚染により悪化します(慢性閉塞性肺疾患)。
③肺気腫
主な症状は、息切れや
病気に気づいたらどうする
まず、内科を受診してください。指示がある場合には、呼吸器内科の専門医を受診してください。症状の悪化が起こらないようにするには、可能なら大気汚染のない地域に引っ越すことが必要です。
柳澤 裕之
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報