経済学者。明治38年1月29日東京・下谷(したや)に生まれる。第三高等学校を経て1929年(昭和4)東京帝国大学経済学部卒業。卒業と同時に同大学の助手となり、1945年教授、1963年総長に就任したが、1968年に大学紛争のため辞任、退官。『独逸(ドイツ)社会政策思想史』(1936)、『社会政策の基本問題』(1940)、『社会政策』総論、各論(1949、50)などによって、社会政策の生産力理論を展開し、分配政策論や政治論を批判した。経済学説史の分野でも『スミスとリスト』(1943)によって優れた業績を残した。また、第二次世界大戦前の日本の賃労働者の性格を「出稼ぎ型」とする見解でも知られる。戦後は日本の労働問題の実態調査を精力的に指導し、『戦後労働組合の実態』(1950)で日本の労働組合を「企業別組合」と規定した。また『黎明(れいめい)期の日本労働運動』(1952)、『暗い谷間の労働運動』(1970)、『戦後日本の労働運動』(1955)の三部作によって、「出稼ぎ型労働力」論に基づく独自の労働史観を樹立した。『日本労働運動史料』全11巻(1959~1975)の編纂(へんさん)にも取り組む。なお、社会保障制度審議会会長、社会経済国民会議(現、日本生産性本部)議長なども務めた。日本学士院会員。自伝的作品として『社会政策四十年』(1970)がある。
[神代和俊]
『『大河内一男集』全8巻(1980~1981・労働旬報社)』
昭和期の経済学者 東京大学名誉教授;社会保障制度審議会長。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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