漸新世から現世にかけて生息しているホオジロザメ属などのサメの歯の化石。とくに漸新世から鮮新世にかけての地層から出るカルカロドン・メガロドンCarcharodon megalodonが有名である。ホオジロザメ属(カルカロドン)は軟骨魚綱板鰓(ばんさい)亜綱ネズミザメ科の1属である。大きな正三角形に近い形の歯をもち,最も獰猛(どうもう)なサメとされている。カルカロドン・メガロドンは巨大なサメで少なくとも全長15mはあったと考えられている。現生種のホオジロザメは世界の暖海に生息し,全長8m程度に達する。ホオジロザメ属は現生のものは1種であるが,化石としては中新世~鮮新世にかけてカルカロドン・スルキデンスC.sulcidens,カルカロドン・アングスティデンスC.angustidensなど数種が生息していたことがわかっている。〈天狗のつめ〉として神社仏閣などに奉納されているサメの歯にはホオジロザメ属のもののほかにアオザメ属,イタチザメ属,シロワニ属,ネズミザメ属などの歯もある。
これらのサメの歯の化石が〈天狗のつめ〉とよばれるのは,歯冠が三角形で光沢があり,その感じが先のとがったつめに似ているからであろう。すでに江戸時代の《雲根志》にも出ており,各地で宝物とされている。西洋においても〈舌石glossopetra〉といったり,海の怪獣の歯とみなされていたようである。日本では〈天狗のつめ〉なるサメの歯の化石は北海道から沖縄に至る各地から発見されている。
執筆者:上野 輝弥
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