太平洋地域に利害関係を有する諸国家・諸民族の相互理解と正確な情報交換を目的とした国際的な調査団体。略称IPR。YMCAの活動に端を発し,1925年のホノルル会議をもって発足,61年まで存続した。日本,中国,朝鮮,アメリカ,イギリス,カナダ,オーストラリア等の民間有識者によって組織された。本部はホノルルに置かれ,のちにニューヨークへ移った。活動の内容は定期的に国際会議を開催して,各国の代表者による討論を行うこと,および太平洋関係諸問題に関する学術的調査研究であった。日本支部の創立は1926年,日米関係に強い関心を抱く財界有力者や自由主義的知識人の支持と参加を得て設立され,井上準之助や新渡戸稲造が理事長を務めた。日本の中国侵略とそれに伴うアメリカ,イギリスとの緊張激化により,国内の活動は衰え,38年以後は事実上同会を脱退するにいたり,第2次大戦後1950年に復帰した。
執筆者:永井 和
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略称IPR。1925年ホノルルでの民間研究機関・学者の国際会議で設立された民間研究討論機関。アメリカを中心に太平洋の14か国(イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、オランダ、インド、ソ連、フィリピン、日本、中国、後のインドネシアとパキスタン)で構成、ただしソ連は戦後、中国は中国革命後は不参加。第二次世界大戦終了まではその研究業績・政策立案は参加諸国の政策に寄与したが(ことに連合国の対日占領政策などで)、そのため戦後反動期にIPR関係者はマッカーシズムの攻撃を受け、その醵金(きょきん)者も減り、IPRの活動そのものも衰退したが、いまも存続し、機関誌『パシフィック・アフェアーズ』(季刊)は出ている。
[陸井三郎]
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