普及版 字通 「夭」の読み・字形・画数・意味
夭
4画
[字訓] くねらす・わかい・わざわい
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
人が頭を傾け、身をくねらせて舞う形。夭屈の姿勢をいう。〔説文〕十下に「屈するなり。大に從ふ。象形」とし、〔伝〕に「其の頭頸を夭嬌(えうけう)するなり」という。若い巫女が手をあげ、髪を乱して舞う形は(しよう)で、笑の初文。その前に祝詞の器である(さい)をおく形は(若)、ゆえに夭若の意がある。その祝詞を捧げて舞う形は(呉)、神を(たの)しませることをいう。・には笑いしむ意がある。もと神をしませる意であった。また早折を夭といい、災いを殀(よう)という。その鬱屈の象をとるものであろう。
[訓義]
1. くねらせる、くねらせて舞う、おどる。
2. わかい、わかい巫女、わかくしなやかなもの。
3. わざわい、わかじに。
[古辞書の訓]
〔字鏡〕夭 モトム・ホロボス・スサシ・ソコナフ・ナカバニシヌ 〔字鏡集〕夭 カガマル・ノベヤハラク・シメ・ヲル・ワザハヒ・ソコナフ
[部首]
〔説文〕に喬・幸・(奔)の三字をこの部に属し、〔玉〕も同じ。幸を夭(ようぎやく)の会意とし、夭死の逆であるから幸の意であるとするが、理に拘泥した説である。幸は手械(てかせ)の象、それを手に加えるを執という。喬・の従うところは、枉屈(おうくつ)というよりも矯首の象。夭・(そく)は意象の近い字である。
[声系]
〔説文〕に夭声として(笑)、また声として・(妖)など七字を収める。夭は夭屈して舞う形、それに両手をあげた形を加えたものがである。が艸に従うのと同じで、艸は両手の象。
[語系]
夭・幺・yは同声。夭・幺は、拗折(ようせつ)・拗転するものをいう。幼・幽yuは束ねた糸たば、糸たばに火を加えて燻(くす)べて黒色とすることを幽という。はまた窈に作り、・幽はくらくかすかな意、みな声義に通ずるところがある。
[熟語]
夭悪▶・夭閼▶・夭遏▶・夭隠▶・夭疫▶・夭▶・夭枉▶・夭横▶・夭喬▶・夭▶・夭矯▶・夭屈▶・夭昏▶・夭采▶・夭摧▶・夭札▶・夭殺▶・夭死▶・夭疾▶・夭邪▶・夭寿▶・夭傷▶・夭殤▶・夭紹▶・夭逝▶・夭折▶・夭絶▶・夭胎▶・夭鳥▶・夭年▶・夭没▶・夭魔▶・夭命▶・夭冶▶・夭夭▶・夭▶・夭麗▶
[下接語]
嬰夭・横夭・遽夭・殺夭・寿夭・傷夭・色夭・夭・早夭・蚤夭・胎夭・天夭・桃夭・殀夭
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報