(読み)ビ

デジタル大辞泉 「媚」の意味・読み・例文・類語

び【媚】[漢字項目]

[音]ビ(漢) [訓]こびる
なまめかしくする。色っぽい。「媚態媚薬
こびへつらう。「佞媚ねいび
あでやかで美しい。「風光明媚

こび【×媚】

人に取り入って、機嫌をとろうとすること。へつらうこと。
女が男に対して色気を示すこと。「を含んだ声」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「媚」の意味・読み・例文・類語

こび【媚】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「こびる(媚)」の連用形名詞化 )
  2. 人の顔色をうかがって、気に入るようにふるまうこと。こびること。へつらうこと。
    1. [初出の実例]「眉 武悲反 説文云目上毛也 慈恩云面首の媚(コヒ)なり」(出典:法華経釈文平安中期点(976頃)上)
    2. 「三家の台輔も奉行頭人の前に媚(コビ)を成し」(出典:太平記(14C後)二一)
  3. 女の美しく色っぽいこと。なまめくこと。いろめくこと。
    1. [初出の実例]「この后一たびゑめば百の媚ありけり」(出典:平家物語(13C前)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「媚」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音]
[字訓] こびる・よろこぶ・いつくしむ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は眉(び)。眉は眉飾。眉飾を加えた巫女を媚という。卜文・金文に眉下に女を加えてその眉飾を強調する字があり、それが媚の初文である。〔説文〕十二下に「(よろこ)ぶなり」と訓するが、もと神を悦ばせるものであった。のち〔詩、大雅、仮楽〕「天子に媚(よろこ)ばる」、〔詩、大雅、巻阿〕「庶人に媚ばる」のように用いる。媚飾を加えた巫女は、いわゆる「媚蠱(びこ)」の呪儀をなすもので、「媚蠱」の語は古く卜辞みえ、のち漢代に巫蠱媚道のことが多く、そのことが原因で、しばしば大乱を招いた。〔周礼、天官、内宰、〕に「妖巫蠱、以て自ら衒媚す」とあって、人形(ひとがた)などを用い、人を呪詛する法をいう。

[訓義]
1. こびる、神にこびる。
2. たぶらかす、神に祈って人をたぶらかす、まどわす。
3. よろこぶ、よろこばす、したしむ、いつくしむ。
4. みめよい、うつくしい、あだめく、なまめく。
5. 魅と通じ、ばけもの、あやしいもの。

[古辞書の訓]
名義抄〕媚 コビ・コブ・ウツクシビ・ウツクシブ・ウツクシウス・コブル・アザムク 〔立〕媚 ナマメク・ヲフ・ウツクシフス・コビタリ・トフ・モトホル・ミヤヒカ・ウツクシミ

[語系]
媚・miuet、眉・美mieiは声義が近い。媚は美にしてなる性格のものである。その眉飾によって、目はmat、眛mutの妖しい状態となる。みな一系の語とみてよい。

[熟語]
媚逸媚悦・媚眼媚嬌媚景媚瞼・媚語・媚好・媚行・媚骨・媚子・媚事媚辞媚趣媚秀媚承・媚笑・媚世媚竈媚俗・媚態・媚道媚附・媚夫・媚・媚薬媚頼・媚麗・媚惑
[下接語]
阿媚・愛媚・婉媚・雅媚・閑媚・含媚・綺媚・曲媚・景媚・妍媚・媚・衒媚・媚・蠱媚・巧媚・幸媚・媚・思媚・姿媚・自媚・色媚・邪媚・秀媚・柔媚・淑媚・潤媚・霽媚・鮮媚・仄媚・側媚・妬媚・軟媚・佞媚・筆媚・百媚・附媚・媚・風媚・服媚・嬖媚・豊媚・明媚・媚・容媚

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android