子ども手当(読み)コドモテアテ

デジタル大辞泉 「子ども手当」の意味・読み・例文・類語

こども‐てあて【子ども手当】

次代の社会を担う子どもや子育てを社会全体で支援していくという理念に基づいて、15歳以下の子どもの保護者に支給された手当。平成22年度(2010)から2年間、民主党政権下で、それまでの児童手当に代わって支給された。
[補説]平成21年度(2009)以前の児童手当は、12歳以下(小学生以下)の子どもを対象とし、所得制限を設けていたのに対し、子ども手当は対象年齢を15歳以下(中学生以下)に拡大し、所得制限を設けなかった。平成22年度(2010)と平成23年度(2011)前半は一律月額1万3000円、平成23年度後半は年齢や出生順位によって月額1万円~1万5000円が支給された。平成24年度(2012)は、民主・自民・公明の3党合意に基づいて児童手当として実施されるが、支給対象となる子どもの年齢や支給額は子ども手当と同じ。所得制限が復活するが、当面は所得制限を超える世帯にも5000円が支給される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「子ども手当」の意味・わかりやすい解説

子ども手当
こどもてあて

「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律」(平成22年法律第19号。2010年4月1日施行の時限立法)に基づき、同年6月に支給開始された手当。「次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援する」という趣旨制度。2009年(平成21)の総選挙で民主党がマニフェストの柱の一つとして掲げた政策によるもので、日本の子育て支援予算はヨーロッパ諸国より見劣りし、既存の児童手当や扶養控除だけでは不十分との主張を背景に導入された。支給対象は0歳から中学校修了(15歳になった後の最初の3月31日)前の子どもを監護し、かつ生計を同じくしている父母等の養育者で、所得制限は設けられない。支給額は子ども1人につき月額1万3000円。

 民主党のマニフェストでは全額国費でまかなうとしていたが、財源不足のため一部を地方自治体の負担としたこと、扶養控除の廃止で負担が増す家庭があることや支給の遅延などの制度の不備、さらに児童虐待をしている養育者への支給や未申請の家庭の存在など、多くの問題が指摘された。

 2011年10月から「子ども手当特別措置法」により支給額を変更(2012年3月まで)、その後は東日本大震災の復興財源確保を優先させるため、子ども手当を廃止、2012年度から所得制限のある以前の児童手当法を拡充した制度に移行

[編集部]

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知恵蔵 「子ども手当」の解説

子ども手当

15歳以下の子どもがいる世帯に毎月手当を支給するという趣旨の法案(子ども手当法案)で、民主党がマニフェストに掲げてきた項目の一つ。2009年度第2次補正予算案に盛り込まれ、2010年度からの支給を目指す。
「子ども手当法案」と同じく、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上を目指す法としては、1971年公布の現行法「児童手当法」がある。06年3月当時、政府自民党がこの児童手当法の改正案を提出したことに対して、野党民主党が衆院に提出したものが「子ども手当法案」の出発点である。自民党の改正案は、児童養育家庭の「生活の安定」を目的に、12歳までを対象として一定の所得制限を設け、児童の数に応じて5千円もしくは1万円を支給するというもの。事業主・地方公共団体などと案分し、1割は国が支出する。
それに対し民主党案は、児童の養育に係る「経済的負担の軽減」を目的に、15歳までを対象として所得制限を設けず、児童一人あたり一律1万6千円を全額国庫負担で支給するというものだった。
与党となった民主党は主要な政策の一つとして継続して主張しているが、自民党麻生内閣による08年度からの「子育て応援特別手当」などと呼応して、子ども手当も景気対策のような色彩を帯びてきている。その一方、初年度で2.3兆円、翌年度以降は4.5兆円を要する子ども手当の財源の不足が指摘され、赤字国債や増税、地方公共団体の負担などをめぐり、従来の社会保障としての児童手当との関係も含めて紛糾が続いている。

(金谷俊秀  ライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

百科事典マイペディア 「子ども手当」の意味・わかりやすい解説

子ども手当【こどもてあて】

民主党の主要政策の一つで,2009年8月の衆議院総選挙で15歳以下の子どもの保護者に手当を支給する公約をマニフェストに掲げた。同党は,経済効果,少子化対策,福祉政策等に資すると主張している。9月に発足した鳩山由紀夫内閣は,2010年3月,子ども手当法を国会に上程し可決され,同年4月に施行された。手当支給額によると,財源は初年度2兆2250億円,翌年から,4兆5000億円が必要となることから,その財源確保が問題として指摘された。2010年6月発足した菅直人内閣は満額支給を断念,さらに2011年3月の東日本大震災を受けて,その復興財源を優先させるため,2011年4月,2011年下半期以降の子ども手当を廃止する方向で調整に入り,12年3月末で子ども手当は廃止された。自公の主張を受け入れ年少扶養控除を復活し,恒久法であるの児童手当法にもとづき,自公政権時代の児童手当が支給されることになった。
→関連項目児童手当

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