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子宮体がん しきゅうたいがんCarcinoma of the Corpus Uteri and Endometrial Carcinoma

家庭医学館の解説

しきゅうたいがん【子宮体がん Carcinoma of the Corpus Uteri and Endometrial Carcinoma】

[どんな病気か]
 子宮体部(図「子宮がんの発生部位」)に発生したがんを子宮体がん(子宮内膜(ないまく)がん)といい、日本では、最近増加の傾向にあります。
 もともと欧米では、子宮がんのうちでも多いがんだったのですが、日本でも、全国平均で全子宮がんの30%程度まで増えてきました。
 子宮体がん増加のはっきりした原因は不明ですが、食生活の欧米化にともなって動物性脂肪の摂取量が増えたことや、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの長期間にわたる過剰刺激が関係しているともいわれています。
●どんな人がなりやすいか
 子宮頸(けい)がん(「子宮頸がん」)に比べて、子宮体がんになる人は比較的年齢層が高いのが特徴で、50歳代にもっとも多く発見されます。ところが、最近では若い年齢層にもみられるようになり、30歳代の子宮体がんもまれではありません。
 以前は、肥満、高血圧、糖尿病の人に多く発生するともいわれていましたが、はっきりした因果関係は否定されています。また、最後の妊娠から5年以内に子宮体がんが発生することはまれです。
 妊娠との関係を調べてみると、妊娠しなかった人や、妊娠・分娩(ぶんべん)の回数が少なかった人に比較的多く発生する傾向があります。月経不順が長期間続いた場合にも多いといわれています。
 最近では、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)(「骨粗鬆症」)などに対してHRT(ホルモン補充療法)などを行なう場合も多く、閉経後もホルモン環境(体内のホルモン量)が変化している場合がありますので、こういった治療を受けている人は、乳がん、子宮がん(頸部、体部)の検査を定期的に受けてください。
 子宮がん検査の際に行なった経腟的超音波検査(けいちつてきちょうおんぱけんさ)(腟のほうから超音波を用いて子宮などの形を画像に表わす装置)で、子宮内腔(ないくう)の肥厚(ひこう)(異常に厚くなる)が見つかり、検査する場合もあります。
●がんの進行
 子宮体がんの広がり方には、大きく分けて4つあります。
①子宮の壁にしみこむように(浸潤(しんじゅん))進み、おなかの中に転移(てんい)する。
②卵管(らんかん)を通り抜けて、子宮のまわりに転移する。
③卵巣の動脈にそって走るリンパ管の流れにのり、全身に転移する。
④子宮の下部にある子宮頸部へむかって浸潤し、子宮頸がんのように進む。
 現在、子宮体がんの進みぐあいは、手術後の組織検査により決められますが、それはつぎのように分類されます。
 0期 まだ本当のがんとはいえないが、がんに移行するおそれが強いもの。異型子宮内膜増殖症(いけいしきゅうないまくぞうしょくしょう)(「子宮内膜増殖症/子宮内膜異型増殖症」)などがこれに相当します。
 Ⅰ期 がんが子宮体部にとどまるもの。子宮内膜にとどまるⅠa期と、子宮体部の筋肉層の2分の1以内の浸潤にとどまるⅠb期、筋肉層の2分の1以上に浸潤しているⅠc期に分けられます。
 Ⅱ期 がんが子宮頸部にまで浸潤しているもの。
 Ⅲ期 がんが子宮の外側に広がり始め、卵管や卵巣(らんそう)、腟(ちつ)、リンパ節に浸潤や転移がみられたり、腹腔の細胞診(さいぼうしん)(コラム「子宮がん検診」)が陽性のもの。
 Ⅳ期 がんが子宮から遠い位置にある臓器へ転移し、膀胱(ぼうこう)や直腸の粘膜(ねんまく)に浸潤がおよぶもの。
[症状]
 無症状のものもありますが、子宮頸がんがある程度進行してから症状が出始めるのに比べ、子宮体がんは、いわゆる0期の段階から少量の出血や褐色の帯下(たいげ)(おりもの)などの出血症状が現われることが多く、少なくともこれを目安に、子宮体がん検査を行なうよう推奨されています。
 とくに閉経前後は、不順な月経と区別するのがむずかしいので、おかしいと思ったら婦人科の診察を受け、できるだけ子宮体がん検査も受けるようにしましょう。
 がんが進行してくると、帯下は血性や水様性、膿性(のうせい)となって悪臭をともなうようになり、量も増えてきます。
 また、子宮の内側に膿(うみ)、血液、分泌物(ぶんぴつぶつ)、がんの崩壊した物質がたまって子宮がふくれ、子宮留膿腫(しきゅうりゅうのうしゅ)の状態になります。この状態から、子宮が収縮して内容が流れ出すときに、規則的に反復して痛みがおこり、悪寒(おかん)や発熱がおこることもあります。
 子宮体がんは子宮頸がんに比べて穏やかに進行することもありますが、やがてはがん性悪液質(あくえきしつ)(がん毒素が臓器や神経を侵した状態)におちいります。
[検査]
 子宮体がんの検査には、つぎのようなものがあります。
 細胞診(さいぼうしん) 子宮頸がんと同様、細胞を採取して顕微鏡で検査する方法です。
 子宮の内腔から細胞をとるために、子宮の中にポリエチレン製の細くやわらかい管や、細いブラシ、プラスチック製の棒状の器具などを挿入します。
 子宮内に挿入する際に、多少の疼痛(とうつう)を感じる場合もありますが、操作前に内診(手指で子宮などの大きさや形を診断する)や経腟的超音波断層診断装置で子宮の状態を確認してから操作するため、ほとんど危険はありません。この検査でがんの存在が疑われた場合は、つぎの検査を行ないます。
 子宮鏡診(しきゅうきょうしん) 細い内視鏡(ないしきょう)を用いて、子宮の中を直接みる検査です。麻酔をかけて行なう場合もあります。
 組織診 子宮の内膜(子宮内腔の内側の部分)を掻爬(そうは)してその一部を採取し、病理組織検査を行なって最終診断をつけます。これは多少の疼痛をともないますので、麻酔をして行なうことが多い検査です。
[治療]
 進行の程度によって、治療の内容がちがいます。
 0期 妊娠・出産を希望する場合は、ホルモン療法を行ないます。妊娠・出産を希望しない場合は、年齢などを考慮して、単純子宮全摘術(ぜんてきじゅつ)を行なうこともあります。
 Ⅰ期 単純子宮全摘術と骨盤(こつばん)リンパ節の郭清術(かくせいじゅつ)を行ないます。
 Ⅱ期~Ⅳ期 がんが骨盤壁まで到達していなければ、広汎子宮全摘術(こうはんしきゅうぜんてきじゅつ)と骨盤リンパ節の郭清術を行ないます。骨盤壁まで、がんが浸潤している場合には、放射線療法を行ないます。手術後の再発防止のため、ホルモン療法などを一定期間行なうこともあります。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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