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不妊症 ふにんしょう sterility

翻訳|sterility

8件 の用語解説(不妊症の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

不妊症
ふにんしょう
sterility

正常な性生活を営みながら,2~3年たっても妊娠しない場合をいう。発現率は 10組の男女に1組の割合。原因が女性側にあるもの,男性側にあるもの,夫婦ともにあるものが,それぞれ3分の1ずつある。

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デジタル大辞泉の解説

ふにん‐しょう〔‐シヤウ〕【不妊症】

正常な性生活を継続しながら、妊娠しない状態。原因は生殖機能の未発達や機能不全、疾患などさまざまで、男性側に原因があるものを男性不妊症、女性側に原因があるものを女性不妊症という。また、一度も妊娠しない状態を原発性不妊症、妊娠の経験はあるがその後妊娠しない状態を続発性不妊症として区別することもある。→不妊治療不育症

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栄養・生化学辞典の解説

不妊症

 避妊することなく妊娠できる状態で性交渉があるにもかかわらず,一定期間妊娠しない症状.

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家庭医学館の解説

ふにんしょう【不妊症 Sterility】

◎子どもがほしいのに妊娠しない
[どんな病気か]
[原因]
[検査]
◎適切な治療がたいせつ
[治療]

[どんな病気か]
 避妊(ひにん)をせずに性交渉があれば(性交渉の頻度はカップルによりまちまちですが)、約80%のカップルが1年以内に、10%のカップルが、つぎの1年以内に妊娠するというデータがあります。
 つまり、2年以内に90%のカップルが妊娠するのです。
 残った10%のカップルは、その後の自然妊娠の率が低いため、不妊症と呼ばれます。そして、この10%のうち、子どもをほしいと思う人が、病院を訪れることになります。
 10%という数字は、決して少ないものではありません。しかし、ほかの病気と異なり、不妊症という場合には、赤ちゃんが欲しくて、避妊せずに性交渉をもっていても赤ちゃんができない人、妊娠しない人をさすので、赤ちゃんを希望していなければ、病気とは考えないのがふつうです。
 不妊の原因は、後に述べるようにさまざまなものがあり、1つの病気でおこるのではありません。
月経のおこるしくみ」と「妊娠の成立」(「月経のおこるしくみ」)で述べたように、いろいろな生理的現象がすべてうまくいって、結果として妊娠するわけですから、不妊症の治療では、まず、妊娠しない原因を探さなければなりません。

[原因]
 妊娠は、いうまでもなくカップルがあってこそおこる現象です。妊娠しないというときには、男性に原因がある場合と、女性に原因がある場合があります。
●男性側の原因
●女性側の原因

●男性側の原因
■性交障害
 いわゆるインポテンス、すなわち陰茎(いんけい)が勃起(ぼっき)せず性交ができない場合、あるいは射精障害(しゃせいしょうがい)、すなわち性交はできても射精しない場合は、当然相手を妊娠させられません。
■精子(せいし)の異常
 また、射精できても妊娠させられないときは、精子に異常があると考えられます。
 一般に、健康な男性が1回の射精で射出する精液は1~5mℓで、平均すると3mℓ程度であり、精子の数は、精液1mℓあたり8000万程度です。
 これが3000万以下(WHOの基準では2000万以下)になると、精子減少症(せいしげんしょうしょう)、あるいは乏精子症(ぼうせいししょう)といい、妊娠の確率は低下します。
 また、精液中に精子がみられない場合は、無精子症(むせいししょう)と呼ばれ、精子の運動性がみられない場合は、精子無力症(せいしむりょくしょう)と呼ばれます。
 こうしたことがおこる原因についてはほとんどが不明ですが、多くの場合、ゴナドトロピン(性腺(せいせん)刺激ホルモン)の値が高く、睾丸(こうがん)が萎縮(いしゅく)しています。
 睾丸の生検(組織検査)を行なって、精子をつくる機能に障害があることがわかった場合には、薬物療法も多くは期待できません。
 しかし、なかには停留睾丸(ていりゅうこうがん)(「停留精巣(停留睾丸)」)や、思春期の流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)(おたふくかぜ(「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」))などのように、原因が明らかな場合もあります。
 精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)(「精索静脈瘤」)が原因となっている場合は、手術療法で精液の状態が改善することもめずらしくありません。
 また、逆行性射精(ぎゃっこうせいしゃせい)で、膀胱(ぼうこう)のほうへ精子が射出される場合は、この精子を回収して妻に人工授精(じんこうじゅせい)することにより、妊娠できる場合もあります。
 運動精子が、1mℓあたり500万以上であれば、精子減少症でも、人工授精で妊娠することが期待できます。
 人工授精で妊娠できない場合は、体外受精が行なわれます。最近、顕微授精(けんびじゅせい)(コラム顕微授精」)の技術が発展し、ごく少数の精子でも、妊娠することができるようになってきています。
 さらに、無精子症は従来、妊娠はまったく無理とされてきましたが、精巣上体(せいそうじょうたい)や睾丸から精子、または成熟過程にある未熟な精子を取り出して顕微授精し、妊娠した例もあり、男性不妊のかなりの部分が解決されつつあります。

●女性側の原因
排卵障害(はいらんしょうがい)、黄体機能不全(おうたいきのうふぜん)などの卵巣機能不全(らんそうきのうふぜん)による不妊
 排卵(はいらん)がなければ、当然妊娠はしません。排卵がない原因は、中枢(ちゅうすう)性のものがほとんどです(中枢性無月経については「月経のおこるしくみ」参照)。
 しかし、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)(コラム「多嚢胞性卵巣症候群」)や早発閉経(そうはつへいけい)(ゴナドトロピン抵抗性卵巣(ていこうせいらんそう))など、卵巣性の場合もあります。
 また、排卵はあっても、排卵後に形成される黄体(おうたい)のはたらきが十分でない場合には、子宮内膜(しきゅうないまく)の変化も不十分なため、着床(ちゃくしょう)障害をおこして、妊娠しにくくなると考えられています。このような状態を黄体機能不全(おうたいきのうふぜん)(「黄体機能不全」)といいます。
 卵巣障害は、不妊のみならず、当然無月経(むげっけい)をおこします。
 この場合、一般に、ゲスターゲンテスト(黄体ホルモン負荷試験)が行なわれます。これは、まずプロゲステロン(黄体ホルモン)を使用し、血液中からそのプロゲステロンが消えるときに、出血(消退出血(しょうたいしゅっけつ)(「月経のおこるしくみ」))があるかどうかをみる検査です。
 出血があれば、エストロゲン(卵胞(らんぽう)ホルモン)がある程度は分泌されていて、子宮内膜が、すでにいくらか増殖していたことを意味します。
 このような場合を第1度無月経と呼びます。卵胞発育が多少はあるわけで、無月経の程度は軽いと判断されます。
 最近では、採血でエストロゲン値もはかれますし、超音波で卵胞発育の状態や子宮内膜の厚さなども観察できますので、ゲスターゲンテストは省略される傾向もあります。しかし、消退出血をおこした後は、排卵を誘発しやすいこともあり、いまでも診断に便利な方法といえます。
 ゲスターゲンテストをしても消退出血がみられない場合は、エストロゲン分泌がほとんどなく、卵胞発育がないと考えられます。つまり、卵巣機能不全の程度が強いと解釈されるのです。これを、第2度無月経と呼びます。
 また、LH‐RHテストも行なわれます。これは、障害のある部位を診断するテストで、検査の前と、LH‐RH(黄体ホルモン放出ホルモン)100mgを注射した後に採血して、LHとFSH(卵胞刺激ホルモン)の値を測定します。
 この反応パターンから、不妊の原因が中枢障害なのか、それとも卵巣障害なのかを判定することとなります。
■卵管(らんかん)性不妊
 淋菌(りんきん)やクラミジア感染などの性器感染が原因で卵管炎(子宮付属器炎(「子宮付属器炎(卵管炎/卵巣炎)」))をおこすと、卵管留膿腫(りゅうのうしゅ)や卵管留水腫(りゅうすいしゅ)となり、卵管閉塞(へいそく)をおこします。大腸菌(だいちょうきん)や、その他の細菌が原因となる場合もあります。
 卵管が閉塞(つまる)すれば、当然そのままでは妊娠は望めません。
 また、閉塞はなくても、卵管炎により卵(らん)の輸送能(排卵された卵子を卵管が子宮腔(しきゅうくう)のほうへ送る能力)に障害があれば、不妊や子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)(「子宮外妊娠」)の原因となることも考えられます。
■子宮性不妊
 子宮筋腫(きんしゅ)、なかでも内膜側に飛び出しているような粘膜下(ねんまくか)筋腫は不妊の原因になると考えられます。
 また、子宮筋層内に子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)が発生する子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)や、弓状子宮(きゅうじょうしきゅう)(子宮底(しきゅうてい)にくぼみがある)、双角子宮(そうかくしきゅう)(子宮体部(しきゅうたいぶ)が2つに分かれている)、重複子宮(じゅうふくしきゅう)(子宮および腟(ちつ)の上部を形成するミュラー管の癒合不全(ゆごうふぜん))などの先天性の子宮の形態異常も、不妊の原因になりうると考えられています。
 そして、これらが原因の不妊はすべて、着床障害によるものと考えられています。
■子宮内膜症
 月経痛、性交痛、不妊などをおこすやっかいな病気で、近年、増加傾向にあります。
 骨盤内癒着(こつばんないゆちゃく)をおこすだけではなく、卵巣機能を障害したり、卵管采(らんかんさい)の卵の捕捉や、卵管の卵の輸送能を障害したり、受精や初期胚(はい)(ごく初期の胎児)の発育をさまたげるなど、妊娠成立の多くの過程で、障害をおこすといわれています。
■免疫性不妊
 精子は、女性にとって非自己たんぱくであるため、精子に対する抗体ができてしまい、子宮頸管粘液(しきゅうけいかんねんえき)で精子を凝集させたり、動かなくしてしまったりして、受精を障害する場合があります。
 このような抗精子抗体(こうせいしこうたい)が検出される場合や、女性がリン脂質に対する抗体をもっている場合、自己抗体をもっている場合などは、不妊や習慣流産(しゅうかんりゅうざん)(「習慣流産」)をおこす原因となると考えられています。
 以上のような考えは、最近の考え方であり、まだ不明のことが多く、今後の研究の発展が待たれます。
■受精障害
 従来わからなかったことですが、体外受精が普及するなかで、受精障害のあることが知られるようになりました。しかし、その原因などはまだ不明な点が多く、今後の研究が期待されます。
 ただ、精子数が少ない場合や精子奇形率が高い場合には、受精能も悪いことが少なくないこと、卵の側では、高齢女性の卵の場合、受精率が低いことなどが明らかになりつつあります。
■機能性不妊、原因不明不妊
 検査をしても、原因が明らかにならないものをいいます。
 どこまで検査するか、腹腔鏡(ふくくうきょう)検査を行なったかどうかなどにより頻度が異なりますが、これほど生殖医学が進歩した今日でも、原因不明の不妊は少なくありません。

[検査]
 不妊症の検査には、つぎのようなものがあります。
 基礎体温測定 まず、基礎体温を測定し、排卵の有無、排卵日の推定、低温相(ていおんそう)(卵胞期)の長さ、高温相(こうおんそう)(黄体期)の長さなどをチェックします。
 ホルモン測定 ホルモン分泌が正常かどうかを調べるために、卵胞期、排卵期、黄体期(着床期(ちゃくしょうき))などの時期ごとに、ゴナドトロピンやエストロゲン、プロゲステロンなどの量を測定します。
 このほか、プロラクチン(乳汁(にゅうじゅう)分泌ホルモン)や、甲状腺ホルモン、テストステロン(男性ホルモンの一種)なども調べます。
 頸管粘液検査、性交後テスト 排卵期には、増加したエストロゲンの影響で、子宮頸管粘液が分泌されます。これを採取して、その量やねばりけ、結晶の有無などを調べます。
 また、この時期に性交渉をもって、頸管粘液中の精子を観察することにより、頸管粘液と精子の適合性を検査します。抗精子抗体などにより、精子が凝集したり、不動化してしまうことも少なくないからです。
 子宮卵管造影法(HSG)、卵管通水法、卵管通気法(ルビンテスト) これらの検査は、月経終了後、排卵がおこる前に行なわれます。
 子宮卵管造影法では、経腟的に子宮腔(しきゅうくう)に造影剤を注入します。卵管の通過性、子宮腔の状態、粘膜下筋腫の有無、子宮形態異常の有無などを調べることができます。通気法や通水法では、卵管閉塞の有無を検査できます。
 子宮内膜生検、子宮内膜日付診 この検査をする場合は、避妊をして、着床期(黄体期中期)に、子宮内膜の生検(組織検査)を行ないます。
 エストロゲンやプロゲステロンの効果により、子宮内膜が十分増殖しているか、分泌機能は正常かなど、着床環境が整っているかどうかを調べます。
 この検査は、子宮体がんのないことを確認する意味でも、意義があります。
 免疫学的検査 最近、免疫異常による不妊や習慣流産の存在が報告されています。そのため、抗精子抗体、抗リン脂質抗体をはじめとして、抗核抗体、抗DNA抗体など、各種の自己抗体を調べます。
 これらの検査のなかには、いまだに健康保険の適用が認められていないものもありますので、担当医と相談のうえ受けるようにしてください。
 腹腔鏡検査 腹腔鏡の進歩はめざましく、日本全国に普及してきましたが、入院設備のない外来クリニックのみの施設では、実施は困難です。
 腹腔鏡は、卵管周囲の癒着や、腹膜(ふくまく)のみに存在する内膜症の発見と治療に有効です。
 子宮鏡 子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の診断や治療に有効です。
 これらのほかにも、体外受精関係では、多くの精子受精能の検査が考案され、試みられています。

[治療]
 検査で判明した障害や異常に応じて、適切な治療を選択することがたいせつです。
●男性不妊
 インポテンスが原因の場合には、心理療法などが行なわれます。
 軽い乏精子症では、さまざまな薬物療法が試みられますが、確立したものはないようです。精索静脈瘤の場合は、手術療法が有効です。
 これ以外の治療法としては、少ない精子でも妊娠できるよう、人工授精、体外受精などが試みられています。
●女性不妊
■排卵障害、卵巣機能不全
 軽い卵巣機能不全(「卵巣機能不全(卵巣機能低下症)」)や基礎体温で高温相がない無排卵周期症などでは、温経湯(うんけいとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などの漢方薬が有効なことが少なくありません。また、無排卵周期症や、軽い中枢性無月経のような第1度無月経では、排卵誘発剤(はいらんゆうはつざい)のクエン酸クロミフェンがよく使われます。
 第2度無月経では、hMG(閉経期婦人尿中ゴナドトロピン)の注射が用いられます(排卵誘発剤の詳細については、「排卵誘発剤の知識」を参照してください)。
 高プロラクチン血症(月経のおこるしくみの「初経(初潮)」)による排卵障害の場合は、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)がないかどうか、薬剤性でないかなどを検討した後、それらがなければ、メシル酸ブロモクリプチンやテルグリドなどのプロラクチン分泌を抑える薬剤を使用します。
 このほか、黄体機能不全では、プロゲステロンの補充や、hCG(絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン)の注射などが行なわれます。
 体重減少による排卵障害では、まず体重をもどすこと、ストレスによる排卵障害では、ストレスを解消することから始めなければならないのは、いうまでもありません。
■卵管性不妊
 卵管閉塞が原因の不妊では、まず、手術により形成術を行なうことを考えます。
 それでも再閉塞した場合や、卵管留膿腫や卵管留水腫など、形成術後の再発が心配されるような病気の場合には、体外受精の適応が考えられます。
■子宮性不妊
 粘膜下筋腫による不妊の治療には、子宮鏡を使った核出(かくしゅつ)(筋腫の摘出手術)が行なわれます。
 子宮形態異常の場合は、形成手術が行なわれますが、子宮形態異常があってもそのまま妊娠することもあり、手術すべきかどうか、医師が迷う例も少なくありません。
■免疫性不妊
 治療薬として、漢方薬の柴苓湯(さいれいとう)、アスピリン・ダイアルミネート、少量のステロイドホルモン(プレドニゾロン)などの使用が試みられています。
 これらの薬剤は、自己抗体の産生を低下させたり、血液の細かい擬集を抑制したりすることにより、受精や着床、初期胚の維持を阻害している因子を低下させると考えられています。
 抗精子抗体が陽性の場合では、体外受精も適応となります。
■受精障害
 受精障害が認められる場合は、体外受精で顕微授精をする以外に方法がありません。
■機能性不妊、原因不明不妊
 原因不明なので、特別な治療法があるわけではありませんが、漢方薬(おもに当帰芍薬散、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、温経湯など)や、ときには、排卵誘発剤の使用、人工授精や体外受精なども行なわれます。
 体外受精の過程で、受精障害が発見されることもあります。その際には顕微授精が行なわれます。

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食の医学館の解説

ふにんしょう【不妊症】

《どんな病気か?》
〈女性が原因の不妊は30%。まず、体調をととのえよう〉
 ある統計によると、正常な性機能をもち、避妊をせずにある程度の性交渉をもつカップルなら、1年以内に80%が、2年以内では90%が妊娠するといいます。
 同様な条件で、2年が経過しても妊娠の兆しがない場合には、なにかしらの不妊因子をもっている可能性もあり、このうち、子どもをほしいと思って病院を受診する人が不妊症(ふにんしょう)と診断されます。
 しかし、とかく不妊は女性に原因があるかのようにいわれてしまいがちですが、実際には30%が女性、30%が男性に原因があり、残りは原因不明というのが現実です。
 女性に原因がある場合には、ホルモン分泌(ぶんぴつ)の異常が原因となって排卵がない、卵管や子宮頸管(しきゅうけいかん)に異常があって受精できない、子宮発育不全やその他の子宮の疾患により、受精卵が着床(ちゃくしょう)できなかったり、着床しても受精卵が育たないなどの原因が考えられます。
 また、精神的なストレスや疲労、ビタミン不足によって妊娠しにくくなっていたり、極端な虚弱や肥満の女性は、妊娠しにくいともいわれています。
 原因がはっきりしている場合には、適切な治療を行い、また、最近では体外受精などの技術もすすんでいるので、専門医アドバイスを受けましょう。
 しかし、原因がはっきりしない場合には、まず日常生活において、規則正しい生活を送ることがたいせつです。そのうえで、ストレスをためない、体を冷やさないなどの習慣を心がけましょう。
《関連する食品》
バランスのよい食生活とビタミンの補給が基本〉
 食事においてはまず、バランスのとれた食生活で体の調子をととのえることがたいせつです。
 同時に、ふとりすぎややせすぎにも注意が必要です。
 ただし、急激なダイエットや過食もホルモンのバランスを乱す原因になるため、その場合には、少しずつ時間をかけて、体調をととのえるようにしましょう。
○栄養成分としての働きから
 ビタミンは十分にとりましょう。コマツナキャベツニンジンなど、ビタミン類を豊富に含む野菜をとるようにします。
 これらの野菜をジュースにして飲むなどくふうして、十分な摂取により体調をととのえることができます。
 また、貧血防止と冷えの予防には十分な鉄分も必要です。ただし、過体重にも注意が必要なので、脂質の少ない赤身の牛肉や豚肉、貝類、ホウレンソウやコマツナなどの青菜、ヒジキなどの海藻からとるといいでしょう。
〈黒豆、当帰が月経不順の不妊に有効〉
○漢方的な働きから
 漢方では、黒ダイズ、当帰(とうき)が不妊症に効果があるといわれています。
 いずれも月経不順による不妊症に効果が高いものです。
 なかでも当帰は特効薬といわれるほど、漢方では高く評価されています。また、黒豆は黒豆酒にして用いられます。
 ゴボウは強壮作用があり、妊娠に備えて、体調をととのえる意味でも有効です。
○注意すべきこと
 大量・習慣的な飲酒、喫煙も不妊の原因となりますし、いざ妊娠したというときには、胎児の発育などに影響をおよぼします。
 できるだけひかえるようにしましょう。

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世界大百科事典 第2版の解説

ふにんしょう【不妊症 sterility】

結婚後の避妊期間を除いて,2年以上経過しても生児を得られない状態をいう。全夫婦の約10%にみられるといわれ,1度も妊娠していないものを〈原発性不妊〉,すでに子どもはいるが,その後妊娠しないものを〈続発性不妊〉といい,妊娠はするが生児を得られない場合を〈不育症infertility〉と呼んで区別している。不妊の原因は種々たくさんあり,男性,女性のいずれにあるかで〈男性不妊〉と〈女性不妊〉に大別され,その比率は2対3といわれている。

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大辞林 第三版の解説

ふにんしょう【不妊症】

妊娠可能な年齢の女性が、避妊せずに、正常な性交を繰り返して一定期間を経過しても妊娠しない症状。男性側の原因に精子減少症・無精子症などが、女性側の原因に卵管通過障害などがあげられる。 → 不育

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

不妊症
ふにんしょう
sterility

妊娠可能な年齢の健康な男女が正常な性交を繰り返し、しかも避妊をしないのに一定期間(一般には2年間)妊娠が成立しない状態をいう。ほぼ10%の夫婦は不妊の状態にあるといわれる。不妊は男女いずれに原因があってもおこるが、不妊の原因が男性側にある場合を男性不妊症、女性側に要因がある場合を女性不妊症という。その比率は3対7ないし4対6の割合という報告がもっとも多い。なお、結婚後一度も妊娠したことのない原発性不妊症と、かつて妊娠したが、その後受胎しない続発性不妊症を区別することがある。続発性の場合は、人工妊娠中絶副作用とみられるものが多い。[白井將文]

男性不妊症

原因として(1)精巣(睾丸(こうがん))における造精機能の障害、(2)精子輸送路の通過障害、(3)精巣上体(副睾丸)の障害および精漿(せいしょう)(精液の液性成分)の病的所見、(4)性交あるいは射精の障害などがあげられているが、その大部分が精巣での造精機能障害によるものである。この原因として精索静脈瘤(りゅう)が最近注目されている。また、染色体の異常や停留精巣といった先天的な異常や精巣炎のような後天的な原因もあるが、その半数以上は原因がまったく不明である。
 不妊の検査でもっとも重要なのは精液の検査である。まず、精液の採取は、一定の禁欲期間(WHO検査基準によれば、2日から1週間)後に用手法で滅菌した広口容器にとる。コンドームで採取すると、コンドームに付着したタルクやシリコーン油によって精子運動率の低下をきたすので、運動率に関しては信頼性が乏しくなる。採取直後の精液は均一でないので、少なくとも20分以上室温に放置し、均一化してから検査する。一方、長時間放置すると運動率が低下するので、最大限120分以内に検査を完了するようにする。検査は、精液の色や量、精子の数・運動率・奇形率、精子凝集などについて調べる。妊娠成立には女性側の性機能が大きく関与してくるので、精液の正常範囲を決めるのは困難であるが、いちおう、WHOの基準では精液量は2ミリリットル以上、精子数は1ミリリットルにつき2000万以上、運動率は50%以上、奇形率は50%以下であれば正常と考えてよい。精巣組織検査も重要で、とくに無精子症に対しては不可欠である。精巣で精子がつくられており、精液中に精子が存在しなければ精子輸送路の通過障害が疑われるので、精子輸送路のX線検査が必要となる。
 現在行われている造精機能障害に対する治療法は、次の二つに大別される。一つは精液の状態を改善させる方法で、精子の運動率や精子数を増加させるような薬物療法や精索静脈瘤に対する外科療法などを行う。他の一つは射出された精液をなんらかの方法で改善させる治療法で、活動精子だけを分離する方法とか、添加物により精子の活動を賦活(ふかつ)させる方法などが行われる。一方、精子輸送路通過障害に対しては顕微鏡下精管・精管吻合(ふんごう)術や精管・精巣上体吻合術が行われている。これら手術が不可能な症例には精巣上体や精巣から直接精子を採取して顕微授精に供する。[白井將文]

女性不妊症

原因として(1)性器の異常、(2)排卵や月経の異常、(3)卵管障害による受精不能、(4)受精卵の着床障害、(5)性器の腫瘍(しゅよう)や炎症、あるいは全身疾患などがあげられる。このうち卵管障害の頻度がもっとも高く、以下、排卵障害、子宮や頸管(けいかん)の異常の順となる。
 不妊要因がどこにあるかを調べる検査としては、(1)基礎体温の測定、(2)腟(ちつ)内容検査、(3)頸管粘液検査、(4)子宮内膜検査、(5)卵管疎通性検査(子宮卵管造影法、描写式通気法、通水法)、(6)骨盤腔(くう)鏡や腹腔鏡による直視観察などがある。なお、男性不妊症と女性不妊症の総合的検査法としては、(1)精子との適合性を調べるヒューナー試験、(2)ミラー‐クルツロック試験、(3)男女の血液型、(4)精子あるいは精液免疫検査などがあげられる。
 以上の諸検査の結果、原因療法を行う。的確な治療方針の下に一定期間持続して行い、不必要・無意味な治療を避けるようにするが、治療の限界については十分に認識しておく必要がある。近年は人工授精が注目されている。
 なお、このほか機能性不妊症もあり、これは不妊症の治療をあきらめて養子をもらったり、再婚をしたらその後に妊娠するといった心理的要素が多く関与したとみられるもので、心身医学的治療の対象とされている。[新井正夫]

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世界大百科事典内の不妊症の言及

【稔性】より

…ふつうは植物についていうことが多い。何らかの原因によって稔性が阻害され,次代の植物が育たない現象を総称して不稔性sterilityという。不稔となるのにはいろいろの様式があるが,形態的不稔性(生殖器官に発達異常がみられるもの),発生的不稔性(胚囊や花粉管など配偶体世代に相当する部分に異常のみられるもの,胚や胚乳の形成が異常なものなど),不和合性(花粉も胚囊も完全に機能しているのに特定系統間で交雑を行ったときには受精不能であるもの)などが区別されることもあり,広義には,環境条件によって花をつけなかったり早く落花したり,または種子が発芽できなかったりする場合も含めて不稔ということがある。…

【子宮筋腫】より

…発生した筋腫の数の少ない場合はもちろん,10個,20個とたくさんの筋腫ができている場合でも,一つ一つ丹念に核出することにより筋腫を取り去ることができる。したがって,子宮筋腫が不妊症の原因になっていると考えられる若い女性の場合には,この手術を行うことが原則であり,これにより子どもに恵まれる機会が増える(不妊率は普通の夫婦の場合10%,筋腫があると約30%と増加する)。第2の方法は子宮の腟上部切断術で,これは,子宮筋腫の大部分(90~95%)を占める子宮体部筋腫の場合に,子宮体部を切除するものである。…

【子宮頸管粘液】より

…排卵期の頸管粘液の量が少なすぎたり性状が不良だと,不妊の原因になることがある。また,頸管粘液中に精子不動化抗体が分泌されるための精子免疫による不妊症も少数例ながらみられる。頸管粘液の精子受容性はヒューナー試験Hühner test,ミラー=クルツロック試験Miller‐Kurzrok testでしらべることができる。…

※「不妊症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の 12月中 (12月後半) のことで,太陽の黄経が 300°に達した日 (太陽暦の1月 20日か 21日) から立春 (2月4日か5日) の前日までの約 15日間で...

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