宇田道隆(読み)うだみちたか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇田道隆」の意味・わかりやすい解説

宇田道隆
うだみちたか
(1905―1982)

海洋物理・水産海洋学者。東京水産大学(現、東京海洋大学)名誉教授。高知県に生まれ、東京帝国大学物理学科卒業。在学中より寺田寅彦(とらひこ)の指導下で影響を受ける。水産講習所(のち東京水産大学。現、東京海洋大学)に入り水産試験場に移り、田内森三郎(1892―1973)の指導を受ける。水産試験場が中心になって行った当時としては画期的な総合海洋観測である北太平洋日本近海一斉海洋調査の企画、推進、観測にあたり大きな成果を収めた。のち神戸・長崎海洋気象台長、東海区水産研究所長、東京水産大学教授、東海大学海洋学部教授を歴任、日本海洋学会、水産海洋研究会会長にも選出された。日本近海、北西太平洋の海況の物理的解明に努力し、黒潮冷水塊潮目(しおめ)(潮境(しおざかい))、亜熱帯反流大気海洋相互作用などについて論文が多い。また、日本の漁場学、水産海洋学の基礎確立に尽力し、後進の指導にも熱心であった。前記論文のほかに『海』(岩波新書)、『世界海洋探検史』(河出書房)など、一般向けの著書も多い。歌人としても知られ、「海」を御題とした1977年(昭和52)の歌会始の召人(めしうど)を務めている。

[半澤正男]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「宇田道隆」の解説

宇田道隆 うだ-みちたか

1905-1982 昭和時代の海洋学者。
明治38年1月13日生まれ。宇田友猪次男。神戸,長崎各海洋気象台長,水産庁東海区水産研究所長,東京水産大教授,東海大教授を歴任。潮目や黒潮などを研究し,亜熱帯反流を発見した。歌人としても知られる。昭和57年5月10日死去。77歳。高知県出身。東京帝大卒。著作に「海洋気象学」「海」など。

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