安南(読み)アンナン(その他表記)Annan

デジタル大辞泉 「安南」の意味・読み・例文・類語

アンナン【安南】

ベトナム中部地方。また、この地に建てられたベトナム人国家の称。唐代に安南都護府が置かれて以来の呼称

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精選版 日本国語大辞典 「安南」の意味・読み・例文・類語

アンナン【安南】

  1. ( Annan )
  2. [ 一 ] ベトナムに対する中国人、フランス人などの外国人による呼称。唐が辺境統治のために置いた都護府の一つ、安南都護府に由来する。
    1. [初出の実例]「相共呈書于安南国大都統麾下」(出典:日本財政経済史料‐八・経済・外国通商・対外往復文書・元和六年(1620)二月一一日)
  3. [ 二 ] 一九世紀後半に、フランスはベトナム植民地を三つに分け、阮朝王権を認めたベトナム中部の地方を保護領とし、アンナンと称した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「安南」の解説

安南
アンナン
Annan

ヴェトナムに対する中国側の古い呼び名。唐初期の安南都護府に由来
秦・漢代に中国勢力は交趾(現ハノイ付近)まで進出したが,唐の滅亡後ヴェトナム民族が自立した。丁朝の大瞿越 (だいくえつ) ,李朝の大越 (だいえつ) をへて,陳朝時代には3度(1257・85・87)モンゴル軍の侵入を撃退して民族的自覚を高め,民族文字字喃(チュノム)も考案された。次の黎朝では,一時チャンパー(占城)を征服して最盛を誇ったが,鄭 (てい) ・阮の権臣対立西山党反乱で滅亡。阮氏一族の阮福映はフランス人の援助で1802年阮朝を建て,清は越南王に封じた。フランス領インドシナが成立(1887)すると,再び安南の名が用いられたが,フランスから独立後はヴェトナム(越南)に代わっている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「安南」の解説

安南
アンナン

ベトナムをさす中国名。唐の安南都護府(とごふ)に由来し,阿倍仲麻呂も760年代に赴任している。1802年まで中国は安南国の呼称を用いた。明代以降,琉球・日本にもこの名で知られ,17世紀の分裂や19世紀初頭の越南(ベトナム)への国号変更にもかかわらず,日本では第2次大戦期まで安南とよんだ。なおフランス植民地時代には,王都フエ(ユエ)のある中部のみをアンナンとよんだ。

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旺文社日本史事典 三訂版 「安南」の解説

安南
アンナン
Annam

インドシナ半島東岸の狭長な地方。現在のヴェトナム
その名は唐の安南都護府(唐の南辺統治機関)に由来する。唐末,五代(907〜960)の争乱に乗じて,秦以来の中国支配から脱却し,明に一時征服されたが,1428年独立。17世紀には朱印船が盛んに出入し,ツーラン・フェフォには日本町ができた。19世紀後半,フランスの保護国となり,第二次世界大戦後独立。

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