国家が条約に基づき他の国家の保護の下に置かれることを保護関係とよび、保護する国を保護国protecting state、保護される国を被保護国protected stateと称する。しかし、被保護国のことを保護国とよぶ場合もある。保護関係は通常、対外的権能の一部の行使を保護国に認めるのであるが、その具体的内容は条約によって定められる。保護関係は力の異なる国家間に設定されたので、条約内容が被保護国に押し付けられることが多かった。かつて被保護国は、日本に併合されるまでの大韓帝国(1905~10)や、フランスを保護国とするチュニス、モロッコ、カンボジア、イギリスを保護国とするエジプトなど多数あったが、いずれも独立した。また、1993年にスペイン・フランス両国を保護国としていたアンドラが独立し、被保護国は姿を消した。なお、同様の従属国として付庸(ふよう)国があるが、国内法に基づき一定の独立的地位が認められている点が、国際法を根拠とする被保護国と異なる。
[佐分晴夫]
条約にもとづきほかの国家との間に保護関係を形成し,対外関係の処理を委ねて保護される地位にある国家。日本は1905年(明治38)11月の第2次日韓協約によって韓国を保護国としたが,名目的な独立の維持と韓国への列国の干渉の排除がその目的であった。保護国化に際しては欧米各国の制度・前例を調査し,また桂・タフト協定,日英同盟,日露講和条約などにより列国の事前承認を得ることに努めた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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