インドシナ半島の高原およびスマトラ島で天然に産する樹脂の一種で、エゴノキ科の植物の樹幹に傷をつけて採取する。通常、灰褐色をした平滑な塊である。産地により成分や樹脂を分泌する植物の種類が異なっていて、シャム安息香、スマトラ安息香などがよく知られている。シャム安息香の主成分は安息香酸と2種類の樹脂アルコール(ベンゾレジノールとシアレジノタンノール)のエステルであり、スマトラ安息香は前出の2種類の樹脂アルコールのケイ皮酸エステルが主成分で、このほかに遊離安息香酸などを含んでいる。シャム安息香はバニラに似た芳香、スマトラ安息香はケイヒに似た芳香をもつ。用途は、安息香酸の原料、香料、チンキ剤や軟膏(なんこう)などの医薬品、防腐剤などである。
[廣田 穰]
エゴノキ科のStyrax benzoinから得られる樹脂で,一種のバルサム.帯赤色または褐色で甘味がある.主成分は安息香酸およびケイ皮酸.ワニス,化粧品,医薬品,および安息香酸の原料などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…果実は球形で,径約1cm,白い毛がある。タイ,マレー,スマトラなど東南アジアに生じ,栽培もされ,S.paralleloneurum Perk.など安息香を産出する二,三の近縁種がある。【山中 二男】
[薬用]
安息香はアンソクコウノキのほかに,S.paralleloneurum(スマトラ産),S.tonkinensis(タイ産)などの幹に傷をつけて得られる樹脂で,市場品は各種のダマール,コパールなどの安い樹脂と混合されたブレンドベンゾインである。…
…また庭園樹として栽植されることもある。香料として用いられる安息香は,東南アジアや南アメリカ産の同属のS.benzoinの樹皮から採られる樹脂である。【浜谷 稔夫】。…
※「安息香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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