安息香(読み)あんそくこう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

安息香
あんそくこう
gum benzoin

インドシナ半島の高原およびスマトラ島で天然に産する樹脂の一種で、エゴノキ科の植物の樹幹に傷をつけて採取する。通常、灰褐色をした平滑な塊である。産地により成分や樹脂を分泌する植物の種類が異なっていて、シャム安息香、スマトラ安息香などがよく知られている。シャム安息香の主成分は安息香酸と2種類の樹脂アルコール(ベンゾレジノールとシアレジノタンノール)のエステルであり、スマトラ安息香は前出の2種類の樹脂アルコールのケイ皮酸エステルが主成分で、このほかに遊離安息香酸などを含んでいる。シャム安息香はバニラに似た芳香、スマトラ安息香はケイヒに似た芳香をもつ。用途は、安息香酸の原料、香料、チンキ剤や軟膏(なんこう)などの医薬品、防腐剤などである。

[廣田 穰]

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

安息香 (アンソッコウノキ)

Styrax benzoin
植物。エゴノキ科の常録高木,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

あんそく‐こう ‥カウ【安息香】

〘名〙 (「あんぞくこう」とも)
① エゴノキ科の常緑高木。マレー半島などの東南アジアに生える。高さ二五メートルに達し、葉は長さ約九センチメートルの長楕円形。花は帯紅白色で小さく、葉腋(ようえき)に集まって咲き、香気がある。実は直径約一センチメートルの球形で白い軟毛が密生。樹脂を薬用、香料とする。あんそっこう。
② アンソクコウの木片、または樹液を乾燥して固めた樹脂。薬用、香料とする。あんそっこう。
※法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)二月一一日「安息香七十両二分」

あんそっ‐こう アンソクカウ【安息香】

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世界大百科事典内の安息香の言及

【アンソクコウノキ】より

…果実は球形で,径約1cm,白い毛がある。タイ,マレー,スマトラなど東南アジアに生じ,栽培もされ,S.paralleloneurum Perk.など安息香を産出する二,三の近縁種がある。【山中 二男】
[薬用]
 安息香はアンソクコウノキのほかに,S.paralleloneurum(スマトラ産),S.tonkinensis(タイ産)などの幹に傷をつけて得られる樹脂で,市場品は各種のダマール,コパールなどの安い樹脂と混合されたブレンドベンゾインである。…

【エゴノキ】より

…また庭園樹として栽植されることもある。香料として用いられる安息香は,東南アジアや南アメリカ産の同属のS.benzoinの樹皮から採られる樹脂である。【浜谷 稔夫】。…

※「安息香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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