江戸初期の数学者。数学を島田貞継(さだつぐ)と今村知商(ちしょう)に習い、今村の『竪亥録(じゅがいろく)』(1639)を解説した『竪亥録仮名抄』(1662)を刊行する。三十方陣までの魔方陣(まほうじん)を示した『奇偶方数』(1697)や、多くの暦に関する著作がある。会津藩主の保科正之(ほしなまさゆき)に仕え、猪苗代(いなわしろ)湖や飯豊山(いいでさん)などの測量に従事した。保科に仕えたのは、測量や勘定方(かんじょうがた)に関係したためばかりでなく、改暦事業にも関係したためらしい。俸禄(ほうろく)は200石のときもあり、またときには家禄没収ということもあった。
[下平和夫]
…今村は,その翌年に数学の公式をすべて歌になおしてまとめた《因帰算歌》を出版した。《竪亥録》は弟子の安藤有益により詳しく解説され,《竪亥録仮名抄》(1662)と題されて出版された。【下平 和夫】。…
…これが最初に著された長暦である。次いで会津の算学者安藤有益は1687年に《本朝統暦》を刊行した。期間は同じであるが日月食の推算までを加え,全部を宣明暦法によって計算した。…
…日本に輸入された楊輝の方陣は,これらの特徴は忘れられた。日本では関孝和,安藤有益(1624‐1708),田中由真(1651‐1719)らの方陣の研究が著しい。みな親子方陣の一般的規則を与えたものである。…
※「安藤有益」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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