デジタル大辞泉
「定式幕」の意味・読み・例文・類語
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じょうしき‐まくヂャウシキ‥【定式幕】
- 〘 名詞 〙 歌舞伎の舞台に用いる引き幕の代表的なもので、縦に萌黄(もえぎ)・柿・黒の三色の縞がはいったもの。各座によって色や配色順が異なっていたが、森田座のものが現在用いられる。狂言幕。〔モダン辞典(1930)〕
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定式幕
じょうしきまく
演劇用の幕の一種。今日の歌舞伎(かぶき)で使われる引幕(ひきまく)の代表的なもので、右から萌黄(もえぎ)・柿(かき)・黒の3色の布を縦につなぎ合わせた幕をいう。別名狂言幕。初世中村勘三郎が幕府の用船安宅丸(あたけまる)の櫓(ろ)をこぐ音頭をとり、褒美に拝領した染め分けの帆布を、のちに中村座の幕に用いたのが始まりといわれる。江戸三座では、座によって布の色と順序が異なっていたが、森田座のものが現代に伝わり、この3色の配合が歌舞伎の雰囲気を象徴するようになった。
[松井俊諭]
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定式幕
じょうしきまく
歌舞伎の引き幕に用いられる正式の幕。現在では萌黄,柿,黒の木綿の布を右から順に縦にはぎ合せてある。これは江戸時代の森田座 (新富座) の形式が残ったもので,江戸三座が栄えていた頃は,中村座は右から黒,柿,白,市村座は黒,柿,萌黄とそれぞれ配合が異なっていた。その起源は寛永 10 (1633) 年,中村座の座元1世中村勘三郎が,江戸幕府の御用船安宅丸 (あたけまる) の櫓を漕ぐ音頭をとった賞として拝領した帆布,また日よけの布を舞台に用いたことによるという。関西では大手笹瀬など後援団体の名を縫取った幕を使用していたが,明治期から江戸風になった。この定式幕の三色は歌舞伎の象徴として一般に広く知られている。
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定式幕【じょうしきまく】
演劇用の幕の一種。狂言幕とも。歌舞伎で使われる代表的な引幕で,黒・柿(かき)・萌黄(もえぎ)の3色の布を縦につなぎ合わせた木綿幕。この3色は歌舞伎を象徴する色になっている。
→関連項目幕
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定式幕
別名狂言幕。柿、黒、萌黄(もえぎ)の三色を縦につないだ、引幕の代表。江戸時代、初代中村勘三郎が幕府から拝領した染め分けの帆布を中村座が使ったのが始まり。また、幕府の許可を得た江戸三座(中村座、森田座、市村座)の芝居を大芝居といい、それ以外を小芝居といったが、引幕が許されず、緞帳(どんちょう)を使ったことから緞帳芝居とも呼ばれた。
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世界大百科事典(旧版)内の定式幕の言及
【歌舞伎】より
…女方は2段のものを使う。 定式幕(じようしきまく)劇場常備の3色の引幕(ひきまく)。右から萌葱(もえぎ)(緑),柿(茶),黒の3色の布を縦につなぎ合わせた幕で,その配色は歌舞伎を象徴するデザインになっている。…
【定式】より
…歌舞伎で舞台美術の各部門における決まったやりかた,または形式という意味。最も多く使われるのは〈大道具〉の部門で,劇場常備の三色の引幕(ひきまく)を〈定式幕〉といい,一定の様式をもった常備の大道具を〈定式大道具〉,あるいは単に〈定式物〉という。江戸の大衆に重んじられた吉例の思想の影響もあり,歌舞伎の演出に一定の型ができるにともない,いろいろな場面に使用できる便宜のために整備された。…
※「定式幕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」