定散二善(読み)じょうさんにぜん

精選版 日本国語大辞典 「定散二善」の意味・読み・例文・類語

じょうさん‐にぜん ヂャウサン‥【定散二善】

〘名〙 仏語定善散善観経に説く十三観のような、禅定(ぜんじょう)の心で修する善と、読経礼拝称名など、平常の散乱するままの心で行なう善との二つ。一切の善行
選択本願念仏集(1198頃)「説此観経三福九品定散二善讚彼仏依正二報

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定散二善」の意味・わかりやすい解説

定散二善
じょうさんにぜん

仏教用語。精神が統一され,あるがままに真理をみきわめるという善に関する潜在力と,心は散乱したままであるが,すべての悪業を捨て善業を実行するという善に関する潜在力とをいう。前者を定善,後者を散善と称する。特に阿弥陀仏浄土に生れるための善を,このように分析して説明するが,念仏をこれらのなかに含めたり,念仏以外の修行であるとしたり,その解釈浄土教諸派によって差異がある。

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世界大百科事典(旧版)内の定散二善の言及

【観無量寿経】より

…この経典は,マガダ国王妃韋提希夫人(いだいけぶにん)がその子阿闍世(あじやせ)によって幽閉された,いわゆる王舎城の悲劇を背景に,幽閉中の韋提希に対する仏の説法として展開される。その内容はふつう定散二善と呼ばれる。定善は13種の観法によって阿弥陀仏(無量寿)とその浄土を観想することで,散善は浄土に往生する9種の方法(九品)を述べる。…

※「定散二善」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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