日本大百科全書(ニッポニカ) 「家事代行サービス」の意味・わかりやすい解説
家事代行サービス
かじだいこうさーびす
掃除、洗濯、炊事、買い物など日常的な家事を代行・補助するサービス。家事支援、生活支援サービスともいう。定期的または一時的に、利用者の居宅・敷地内で、時間単位や家事ごとに料金を定めてサービスを提供する仕組みが多い。日本では標準的料金が2~5時間で4000円~1万5000円であるが、ベビーシッターと英語学習を組み合わせるなど多様なサービス形態がある。一般に、家政婦が利用者と直接契約を結ぶのと異なり、家事代行サービスは利用者が業者と契約し、業者が派遣するスタッフのサービスを受ける仕組みである。高齢化や女性の社会進出に伴い、富裕層だけでなく、高齢・共働き・単身世帯などの利用が多い。家事代行サービスはシェアリング・エコノミーの一形態とみることもできる。
日本では1983年(昭和58)、ミニメイド・サービス(株)が家事代行サービスを初めて提供した。その後、異業種の参入もあって、日本規格協会(JSA)によると2017年(平成29)時点で700以上の業者があるとされる。経済産業省の調査では、家事代行サービスの国内市場規模(2017年)は698億円で、2025年には最大で約8000億円まで伸びる見通しである。人手不足や高齢化に対応し、女性の社会進出を促すため、政府は2014年の日本再興戦略で家事代行サービスの環境整備の重要性を指摘。サービスの質を保つため、一般社団法人全国家事代行サービス協会などが2017年から第三者認証サービスを提供し、2021年(令和3)時点で11社を認証済みである。2017年から、東京都、神奈川県、大阪府などの国家戦略特区で、外国人が家事代行サービスに最長5年従事できるように規制緩和した。対象は実務経験1年以上で、国家資格をもち、必要最低限の日本語能力があることが条件である。
[矢野 武 2021年9月17日]