日本大百科全書(ニッポニカ)「家政婦」の解説
家政婦
かせいふ
家政一般を手伝う職業婦人のこと。かつては派出婦(はしゅつふ)ともよばれていた。第二次世界大戦前は、旧職業紹介法第21条「営利職業紹介事業規則」で職業紹介対象者とされ、戦後、職業安定法が制定されたとき(1947)その第32条で、特別の技術を必要とするものとして有料職業紹介が認められることになった。さらに1951年(昭和26)、同法施行規則第24条に家政婦が職種として追加され、今日に至っている。そこでは、家政婦とは「個人の家庭において、臨時に家政一般もしくは病弱者等の付添いの業務を行う者、または病院等において患者の付添いの業務を行う者」としている。普通家政婦は、公共職業安定所の許可を得た有料職業紹介所である「家政婦紹介所」を通じて紹介される。55年ごろからは民間企業において、家政婦を社員として雇い、社員家庭にホームヘルパーとして派遣する制度が始まった。この場合の標準作業は、病人、乳幼児の世話、出産や産後の世話などとなっている。
なお欧米などでは、「公共居住施設の管理」としてハウスキーパーという職種もある。これは、家政婦の活動が、個々の家庭内から、さらに公共居住施設にまで広がったことを意味している。
[松岡明子]