日本大百科全書(ニッポニカ) 「寧安」の意味・わかりやすい解説
寧安
ねいあん / ニンアン
中国、黒竜江(こくりゅうこう)省南東端にある県級市。旧称寧古塔(ニングタ)。牡丹江(ぼたんこう)中流部左岸の広大な溶岩台地上に位置する。牡丹江地級市に属する。常住人口43万7452(2010)。市政府所在地は城区街道。漢代より歴史にみえ、清(しん)代初期から開拓が始まり、東支鉄道や牡図線(牡丹江―図們(ともん))の開通によって農業が発達し、一時は日本人開拓団もいた。小麦、大豆、コウリャン、トウモロコシ、アワ、水稲、テンサイ、タバコ、薬用ニンジン、木材、魚類などを豊富に産出する。また、建築材料、食品加工などの工業や水力発電、風力発電も盛ん。
市中部の東京城(とうけいじょう)鎮は渤海(ぼっかい)国上京城跡(東西4.5キロメートル、南北3.3キロメートル)で、長安を模したとされ、中に有名な燃灯石塔をもつ興隆寺がある。また、市南西部にある火山湖の鏡泊湖(きょうはくこ)は避暑地として名高い。
[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]