小牧山(読み)こまきやま

日本歴史地名大系 「小牧山」の解説

小牧山
こまきやま

上田盆地・塩田平しおだだいら依田窪よだくぼの間に孤立した楕円形の山塊をなし、この地方の中央に位置している。標高七九七メートル。西斜面は現上田市分、東斜面は現小県郡丸子まるこ町分。山塊の峰は二条からなり、その間に須川すがわ湖と須川の集落があり、東側斜面中腹に尾野山おのやま(現小県郡丸子町)の集落がある。北側山麓を千曲川が東より西に流れている。南西側山麓には景勝の地、こうがある。承平八年(九三八)平将門の乱で、平貞盛が国分こくぶん寺の辺りで、千曲川を挟んで将門と戦い、敗れた貞盛が山中に逃れた(将門記)という山は、この小牧山であろうとされている。山の北斜面の尾根先には千曲川に面して小牧城跡がある。

宝永三年(一七〇六)、山麓の諏訪形すわがた小牧こまき両村の村差出帳(上田藩村明細帳)に諏訪形村芝山として、東西二二町五〇間、南北一一町四〇間と記され、小牧山をこの頃は芝山しばやまとよんでおり、両村とも松木は少々と記す。


小牧山
こまきやま

[現在地名]小牧市小牧

市街地の西、木津こつつ用水(合瀬川)沿いに位置する古生層の小丘。標高八五・九メートル。頂上からは名古屋市はじめ濃美平野の景観を一望する。往古、山の近くまで伊勢湾が広がり、舟人がこの山を目標にし「帆巻山」とよんだという言伝えがある。曳馬ひくま山・駒来こまき山・飛車ひしや山などの異称もある(小牧町史)。南側斜面には後期旧石器時代の小牧山遺跡がある。

永禄六年(一五六三)美濃攻めの拠点として織田信長清須きよす(現西春日井郡清洲町)から小牧山に居城を移し、全山を砦とした。同七年八月(一説には同一〇年、岐阜県史)には稲葉山いなばやま(現岐阜市)に移り、小牧城は廃城となった(府史)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「小牧山」の意味・わかりやすい解説

小牧山 (こまきやま)

愛知県小牧市の市街地西方にある小丘。標高86m。秩父古生層からなり,濃尾平野のほぼ中央に孤立する。戦国時代末に戦略上の要地として注目され,1563年(永禄6)には織田信長が美濃進出の拠点として山頂築城,また84年(天正12)の小牧・長久手の戦では徳川家康本陣が置かれ,豊臣秀吉と相対した。1927年国の史跡になり,頂上には京都の飛雲閣を模して建築された小牧市歴史館(小牧城)がある。桜の名所としても知られ,山の南麓には市役所がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

国指定史跡ガイド 「小牧山」の解説

こまきやま【小牧山】


愛知県小牧市堀の内にある城跡。小牧市の西部、市街地中心からすぐ西にある、東西約600m、南北約400mの独立峰で、標高は85.9m、濃尾平野に浮かぶ姿は美しく、小牧市のシンボル的存在になっている。小牧山に、1563年(永禄6)、織田信長が美濃攻略の拠点として小牧山城を築城し、その後、小牧・長久手の戦いの際には徳川家康が陣を置き、江戸時代を通じて家康ゆかりの地として尾張徳川家の厚い保護を受けた。現在も山中の各所に土塁や空堀、井戸跡などが残り、城郭の遺構調査と復元整備が進められている。国の史跡指定は1927年(昭和2)で、その大半を小牧市が所有し、南部の八幡神社周辺が神社地となっている。信長が小牧山に築城した時には、山の南側中腹に馬場があったといわれ、現在は「桜の馬場」と呼ばれている。また東側の麓は史跡公園として整備され、市民の憩いの場として利用されている。名鉄小牧線小牧駅から名鉄バス「小牧市役所前」下車、徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小牧山」の意味・わかりやすい解説

小牧山
こまきやま

愛知県北西部,小牧市の西部にある丘。標高 85.5m。濃尾平野中央に孤立する秩父古生層の堅岩から成る。永禄6 (1563) 年,織田信長がここに築城し,5段の塁濠,山頂に屋敷,南側に大手道,北側に搦手道を造る。天正 12 (84) 年,豊臣秀吉と織田信雄,徳川家康が争った小牧・長久手の戦いのとき,家康の本陣となった。戦場は現在小牧山公園として整備され,国の史跡となり,頂上に展望台,歴史館がある。春のサクラやツツジの咲く頃,紅葉の季節はにぎわう。

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デジタル大辞泉プラス 「小牧山」の解説

小牧山

愛知県小牧市にある公園。小牧・長久手の戦いで徳川家康の主陣地となった所で、山全体が史跡公園となっている。

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