愛知県西部、名古屋市東郊の尾張(おわり)丘陵にある市。市名の起源は長湫(ながくで)の転化、湫とはじめじめした低地を意味し、長湫はここでは東西に長い香流(かなれ)川の谷を指す。1906年(明治39)長湫、岩作(やざこ)、上郷(かみごう)の3村が合併して長久手村と改称、1971年(昭和46)町制施行、2012年(平成24)に市制を施行。愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)が通じる。長久手古戦場は国の史跡で、1584年(天正12)羽柴(豊臣(とよとみ))秀吉軍と織田信雄(おだのぶかつ)・徳川家康連合軍とが戦い秀吉軍が敗れた戦場。岩作の安昌寺(あんしょうじ)には戦死者の首塚がある。第二次世界大戦後の住宅化は目覚ましく、スポーツ、文教施設では長久手市文化の家、長久手スポーツの杜(もり)、愛知県立芸術大学、私立愛知医科大学、愛知淑徳大学、愛知県立大学、名都美術館、トヨタ博物館ができ、愛知県農業総合試験場も設置された。2005年(平成17)の日本国際博覧会(愛・地球博)では、地内の県営愛知青少年公園(1970年開設、2002年閉園)の跡地がメーン会場の一つ(長久手会場)となった。万博終了後、会場跡地は愛・地球博記念公園(モリコロパーク)として開園し、整備が進められている。面積21.55平方キロメートル(境界一部未定)、人口6万0162(2020)。
[伊藤郷平]
『『長久手町史』全9巻(1981~2003・長久手町)』
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