小袖曽我薊色縫(読み)コソデソガアザミノイロヌイ

デジタル大辞泉 「小袖曽我薊色縫」の意味・読み・例文・類語

こそでそがあざみのいろぬい〔こそでそがあざみのいろぬひ〕【小袖曽我薊色縫】

歌舞伎狂言世話物。7幕。河竹黙阿弥作。安政6年(1859)江戸市村座初演極楽寺の僧清心せいしんと遊女十六夜いざよい心中に失敗し、やがて悪の道に踏み込む話。別名題「花街模様薊色縫さともようあざみのいろぬい」。通称十六夜清心」。→十六夜

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小袖曽我薊色縫」の意味・わかりやすい解説

小袖曽我薊色縫
こそでそがあざみのいろぬい

歌舞伎(かぶき)脚本。世話物。7幕。河竹黙阿弥(もくあみ)作。通称「十六夜清心(いざよいせいしん)」。1859年(安政6)2月、江戸・市村座で4世市川小団次の清心、8世岩井半四郎の十六夜らにより初演。別名題『花街模様(さともよう)薊色縫』『柳巷晴着(さとのはれぎ)薊色縫』。文化(ぶんか)期(1804~18)の盗賊鬼坊主清吉の事跡に、安政(あんせい)期(1854~60)の御金蔵破りの事件を絡ませて脚色。極楽寺の所化(しょけ)清心は扇屋の遊女十六夜と稲瀬川で心中を図るが死にきれず、寺小姓の恋塚求女(もとめ)を誤って殺したのをきっかけに、悪の道へ走る。十六夜も俳諧師(はいかいし)白蓮(はくれん)に助けられて囲われるが、清心の菩提(ぼだい)のため尼になったあと、鬼薊清吉という盗賊となった清心に巡り会う。2人は白蓮の家へゆすりに行くが、白蓮も実は大寺(おおでら)正兵衛という御金蔵破りで、清吉の実兄であったことがわかる。さらに清吉は殺した求女が十六夜の実弟であったと知り、罪を悔いて自害する。幕末の退廃した気分を色濃く描いた代表作。まれに「白蓮本宅」のゆすり場までを通しで演ずるが、普通、2人が入水(じゅすい)する「稲瀬川」、十六夜が白蓮に助けられる「白魚(しらうお)船」、清心が変心する「川下(かわしも)」の序幕3場だけを上演することが多い。入水の場面の色模様に使う清元梅柳中宵月(うめやなぎなかよいづき)』(通称「十六夜」)は名曲として知られる。

[松井俊諭]

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