① シラウオ科の魚。体長一〇センチメートルくらいになる。頭は小さく上下に平たく、体の後方は縦に平たい。頭部その他にわずかに黒色胞がある以外ほとんど無色で生時は半透明に近く、死後は白色不透明になるためこの名がある。うろこは雄のしりびれ基底に二三~二九枚あるだけで、他の部分にはなく、また雌には全くない。脂鰭(あぶらびれ)がある。淡水の混じる沿岸域や汽水湖に生息し、一年目の早春に河を遡り、水草に卵を産み付ける。ハゼ科のシロウオに似ており、時にシロウオをシラウオと呼ぶ地方もあるが、両者は生時半透明の体をしている以外あまり類似点はなく別種。北海道から岡山県および熊本県までの各地の沿岸に分布。肉は淡泊で、吸物・すし種・酢の物にする。昔、佃島の漁師が白魚御用を江戸幕府から命ぜられ、隅田川の名産であった。《 季語・春 》 〔多識編(1631)〕