江戸後期の民衆宗教富士講の改革指導者、不二道(ふじどう)の開祖。通称河内屋庄兵衛、不二行者名禄行三志。日光御成道(おなりみち)鳩ヶ谷宿(現、埼玉県川口市)の商家に生れる。1809年(文化6)参行禄王(さんぎょうろくおう)に師事、同年富士講元祖食行身禄(じきぎょうみろく)の教統を継承する。万有への報恩を説き、家業精励、孝行、社会への労力報仕を勧めた。その結社不二道は関東、甲信、東海、畿内(きない)、山陽、九州に広まり、教えを慕う者5万とも10万ともいわれた。不二道は明治維新後、神道実行教と不二道孝心講に分かれ、信仰と運動を継続した。川口市桜町の居宅跡は県指定旧跡、関係資料(198点)は県指定文化財。
[岡田 博]
『渡辺金造著『鳩ヶ谷三志』(1942・文進社)』▽『鳩ヶ谷市文化財保護委員会編『鳩ヶ谷市の古文書7~18』(1982~1993)』▽『岡田博編著『まるはと叢書1~7』(1991~1998・小谷三志翁顕彰会)』
(浅野美和子)
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