尸子(読み)しし

精選版 日本国語大辞典 「尸子」の意味・読み・例文・類語

しし【尸子】

中国諸子雑家書。二〇編、現存二巻。戦国の尸佼(しこう)撰。前四世紀ごろ成立。南宋に散逸し現行本は清代に古書から断片を集めたもの。王道を明らかにし、仁義を重んじ、孔子を尊ぶが、墨子その他の諸子の説も同列にあわせ論じてあるので儒書としての評価を落とされ、諸子に入れられた。

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デジタル大辞泉 「尸子」の意味・読み・例文・類語

しし【尸子】

中国の思想書。20編であったが現存は2巻。戦国時代思想尸佼しこう著。前4世紀ごろ成立。雑家的思想書とされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尸子」の意味・わかりやすい解説

尸子
しし

生没年不詳。中国、戦国時代の思想家。またはその著書。楚(そ)(一説に晋(しん))の人、名は佼(こう)。秦(しん)の宰相商鞅(しょうおう)の客で、商鞅が車裂(くるまざき)の刑にあうや、蜀(しょく)に逃亡したと伝えられる。『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)の諸子略雑家の項に、『尸子』20編を載せる。もと20万言余といわれる。南宋(なんそう)に至って亡失した。ただし、清(しん)朝の学者によって逸文が編補されている。これをもとに知られる編名は、勧学、貴言、四儀、明堂(めいどう)、分、発蒙(はつもう)、恕(じょ)、治天下、仁意、広、綽子(しゃくし)、処道、神明、広沢、止楚師(しそし)、君治などである。墨家と儒家の説の調和のうえに義を説いた。

[伊東倫厚 2015年12月14日]

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改訂新版 世界大百科事典 「尸子」の意味・わかりやすい解説

尸子 (しし)
Shī zǐ

中国古代の思想書。雑家の書とされる。20編。宋のころ亡失し,今は唐の《群書治要》など諸書に引かれた短文を集めた上下2編の本である。尸子の名は佼,晋の人で秦の商鞅(?-前338)の客となり,商鞅の刑死の後,蜀(四川省)に逃げてこの書を作ったという。また楚に居たともいう。内容は儒教的な言葉が多いほか,地理説や名物解説,道家的な生死観など雑多で,諸子の書物と重なるところも少なくない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尸子」の意味・わかりやすい解説

尸子
しし
Shi-zi

中国,戦国時代の学者。名は佼。『史記』によれば荀子と同時代の楚の学者とされている。また,秦の商鞅の客となり商鞅が刑を受けたのち,蜀に逃れて著書の『尸子』 (20巻) を著わしたといわれるが,事績の詳細についての明証はない。その『尸子』は,すでに宋~明代までの間に散逸したが,清朝になって輯本がつくられ今日にいたっている。思想は雑多なものを含むが,名家,法家に近い。

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