雑家(読み)ザッカ

デジタル大辞泉 「雑家」の意味・読み・例文・類語

ざっ‐か【雑家】

古代中国諸子百家の一。儒家墨家名家法家など諸家の説を取捨総合した学派

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精選版 日本国語大辞典 「雑家」の意味・読み・例文・類語

ざっ‐か【雑家】

  1. 〘 名詞 〙 中国、漢代、九流一つ。諸家の説を総合、勘案した学説、学派。また、どの学派にも属さない群小学派の総称
    1. [初出の実例]「孔甲が雑家の書の事ぞ」(出典:史記抄(1477)一五)
    2. [その他の文献]〔史記‐韓長孺伝〕

ぞう‐けザフ‥【雑家】

  1. 〘 名詞 〙 農民階層の一つ。豊臣秀吉時代の検地帳に無屋敷として登録された農民層で、高持の頭(かしら)百姓無高水呑百姓との中間にあった階層をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雑家」の意味・わかりやすい解説

雑家
ざっか

旧中国の学問分類における一派。『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)が古代の思想諸学派を儒(じゅ)・道(どう)・陰陽(いんよう)・法・名(めい)・墨(ぼく)・縦横(しょうおう)・雑・農・小説の十家に分けたのに始まる(前漢時代末の劉歆(りゅうきん)『七略(しちりゃく)』に基づく)。このことばは『史記』韓安国伝(かんあんこくでん)に初出するので、前漢の初期には使われていたが、当時特定の主張をもった集団が雑家として存在していたわけではない。儒家・道家などのような独自の学説をもたず、それら諸家の学説のあれこれを雑(まじ)え折衷して自己の思想を構成したものに名づけたのである。『漢書』芸文志には雑家として『孔甲盤盂(こうこうばんう)』『大禹(たいう)』『尸子(しし)』など20種が記録されているが、今日『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』と『淮南子(えなんじ)』の2種だけが伝わる。両者は諸思想の総合・統一によって新時代を切り開こうとした意欲的な百科全書といってよく、班固(はんこ)も「雑家者流は……儒・墨を兼ね名・法を合(がっ)す」と評した。なお、後世になると、一家をたてるに足りないものを多く雑家に入れたので、雑家はきわめて広い内容をもつに至った。

[池田知久]

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改訂新版 世界大百科事典 「雑家」の意味・わかりやすい解説

雑家 (ざっか)
Zá jiā

中国の古代,九流に数えられた諸子百家の一つ。この分類は,戦国・秦・漢期の思想家群を,前漢末(劉向(りゆうきよう)・劉歆(りゆうきん)父子)の文化観によって九流に整理した際,枠外に出た議論や書籍を集録して成立した。《漢書》芸文(げいもん)志では,儒と墨,儒と道,道と法の諸家の思想を雑糅(いりまじる)しているものとして,《呂氏春秋》《淮南子(えなんじ)》などを著録し,のち後漢の《論衡(ろんこう)》《昌言》や政論集が加わり,《隋書》経籍志では百家全書風の多数の類書がこれに属した。清の《四庫全書》は雑家を6分類し〈雑学,雑考,雑説,雑品,雑纂,雑編〉190部2232巻を収めた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雑家」の意味・わかりやすい解説

雑家
ざっか
Za-jia

中国古代の諸子百家の一つ。儒家,道家,法家などの思想を融合させたもので『呂氏春秋』はその代表的な書。

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普及版 字通 「雑家」の読み・字形・画数・意味

【雑家】ざつか

雑説の人。

字通「雑」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の雑家の言及

【百科事典】より

…中国では,六朝以来伝統的に書物を学術の系統に従って経・史・子・集の4部に分類してきた(四部分類)。類書は最初,雑家類に収められ,のち独立して1類をもつようになるが,雑家の書が子部に収められたのに制約されて,ついに子部の外に出ることはなかった。ただ類書を四部の末に置くべしという議論は明代にすでに存するのであり,嘉靖年間(1522‐66)に胡応麟が,万暦年間(1573‐1619)に祁承(きしようはく)がこれを主張している。…

※「雑家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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