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尿崩症 にょうほうしょう diabetes insipidus

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

尿崩症
にょうほうしょう
diabetes insipidus

抗利尿ホルモン (バソプレッシン) の不足によって腎臓の水分再吸収機能が低下して,多量の尿が排泄される状態。尿量は1日8~12lに及ぶ。正常人では1日 1.2~1.5l。尿の比重は著しく低く,皮膚は乾燥し,常に渇きを覚え,水をほしがる。

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デジタル大辞泉の解説

にょうほう‐しょう〔ネウホウシヤウ〕【尿崩症】

異常に多量の尿を排出する病気。脳下垂体後葉からの抗利尿ホルモンの分泌不足が原因となる(中枢性尿崩症)。また、腎臓の機能障害によって抗利尿ホルモンの作用が低下するために起こるもの(腎性尿崩症)もある。

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百科事典マイペディアの解説

尿崩症【にょうほうしょう】

主として脳下垂体後葉の機能不全または脳底の腫瘍(しゅよう)や炎症による障害によって抗利尿ホルモンの分泌が低下するために起こる比較的まれな疾患。多尿と低比重尿が主症状で,口渇を訴え,摂取水分が少ないと脱水状態を起こす。
→関連項目内分泌疾患頻尿

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栄養・生化学辞典の解説

尿崩症

 視床下部-下垂体後葉系の障害により抗利尿ホルモンの分泌が不全のため,多尿,口渇などを起こす症状.薄い尿が多量に排泄される.

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家庭医学館の解説

にょうほうしょう【尿崩症 Diabetes Insipidus】

[どんな病気か]
 体内の水分が、どんどん尿として排泄(はいせつ)されてしまう病気が尿崩症です。
 このため脱水(だっすい)状態となり、のどが渇いて頻繁(ひんぱん)に飲料を飲むようになります(多飲(たいん))。
 しかし、どんどん尿として排泄されてしまうので、すぐにまた、のどが渇きます。睡眠中も、排尿とのどの渇きをいやすのに何回も起きなければなりません。
 健康な人の1日の尿量は、1.5ℓ前後ですが、尿崩症では10ℓ以上になることもあります。
[原因]
 脳の下垂体(かすいたい)の後葉(こうよう)という部分からは、排泄する尿量を減らすように調節するホルモン(抗利尿(こうりにょう)ホルモン)が分泌(ぶんぴつ)されています。
 脳にできた腫瘍(しゅよう)や頭部の外傷によって、脳内の下垂体に伝わる神経系が障害されると、抗利尿ホルモンの分泌が減少して、尿崩症がおこります。
 また、抗利尿ホルモンの分泌にかかわる遺伝子に異常があるために、抗利尿ホルモンの分泌が減少することもあります。
 この場合は一種の遺伝病ですから、家族・血縁内におこることがあります。
 これら、抗利尿ホルモンの分泌の低下によっておこる尿崩症を、中枢性尿崩症(ちゅうすうせいにょうほうしょう)と呼んでいます。
 一方、抗利尿ホルモンの分泌は正常なのに、それを受ける腎臓(じんぞう)のはたらき(抗利尿ホルモン受容体という部分)に異常があって、抗利尿ホルモンがはたらかないためにおこる尿崩症もあります。また、抗利尿ホルモン受容体の形成にかかわる遺伝子の異常によって、おこることもあります。
 これらの、腎臓に問題のある尿崩症を腎性尿崩症(じんせいにょうほうしょう)といいます。
[検査と診断]
 1日の尿量の測定、尿の濃度を調べる尿浸透圧(にょうしんとうあつ)、血中浸透圧の検査を行ないます。
 つづいて、水制限試験(水分をまったくとらない状態で尿量、尿浸透圧を調べる試験)を行ないます。また、抗利尿ホルモンを注射して尿量が増加するかどうかも調べます。
 1日の尿量が5ℓ以上あり、尿浸透圧が低く、血中浸透圧が高いと尿崩症と診断されます。
 水分をまったくとらない状態で尿量が減少すれば、それは精神的な問題で多飲多尿になったもの(心因性尿崩症(しんいんせいにょうほうしょう)ともいう)です。
 水分をまったくとらない状態でも尿量が減少せず、抗利尿ホルモンを注射すれば尿量が減るというのは中枢性尿崩症であり、尿量が減少しなければ腎性尿崩症です。
[治療]
 中枢性尿崩症は、抗利尿ホルモン作用のあるデスモプレシンを点鼻します。効果は30分内に現われ、6時間以上続くので、朝起きたときと夜寝る前に用います。
 腎性尿崩症には、有効な治療法がありません。水分を十分にとることで、生命の危険はないといえます。
[日常生活の注意]
 中枢性尿崩症では、デスモプレシンの点鼻を一生続けることになります。それで日常生活がおくれるようになります。
 腎性尿崩症では、水分を十分とることがたいせつです。
 逆に、心因性尿崩症では、水分をとりすぎないよう注意してください。

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世界大百科事典 第2版の解説

にょうほうしょう【尿崩症 diabetes insipidus】

脳の視床下部でのバソプレシンの合成,分泌が障害され,腎臓で尿を濃縮することができなくなるために,尿がうすくなり,尿量が異常に増加する病気である。1日の尿量は数lから十数lにも及ぶため,頻繁に排尿せざるをえなくなり,一方で,体内の水分が尿中に排出されてしまうために異常な口の渇きを覚え,これをいやすために,頻繁に水分を摂取するようになる。すなわち,口渇,多飲,多尿で特徴づけられる病気である。脳腫瘍頭部外傷,脳手術などでひき起こされる場合と,原因不明の場合とがある。

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大辞林 第三版の解説

にょうほうしょう【尿崩症】

脳下垂体後葉ホルモンの一種である抗利尿ホルモンが不足して、多尿と口渇をきたす疾患。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

尿崩症
にょうほうしょう

尿量がたいへん多くなる疾患で、健康な人の尿量は1日1.5リットル前後であるが、この病気では5リットル以上、ひどいときには10リットル以上にもなる。したがって患者は大量の水を欲しがる。この疾患は、下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンantidiuretic hormone(ADH)が不足するためにおこる。抗利尿ホルモンは、腎臓(じんぞう)の集合管細胞に働いて糸球体から濾過(ろか)された水分の大部分を再吸収する作用があるが、このホルモンが欠乏すると再吸収がおこらないので、そのまま水分が出されて多尿となる。原因としては、脳腫瘍(しゅよう)、脳底骨折や出血、髄膜炎などの炎症によるものと、器質的病変のみつからない特発性のものがある。特発性のものでは、ある日突然、急に水がたくさん飲みたくなり、しかも冷たい水を好んで飲むようになる。これとともに日常の社会生活および睡眠が、排尿や飲水のために妨げられる。口渇中枢が同時に障害されると、多尿で水分が不足しているにもかかわらず水を飲みたいという気持ちがないので脱水状態に陥り、非常に危険な状態となる。まれに、抗利尿ホルモンは十分に分泌されているが、腎臓がこれに反応しないためにおこること(腎性尿崩症)がある。治療は、抗利尿ホルモンの誘導体であるデスモプレシン(DDAVP)という点鼻薬が著しい効果を示す。[高野加寿恵]

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世界大百科事典内の尿崩症の言及

【バソプレシン】より

…タバコに含まれるニコチンはバソプレシンを分泌させ,アルコールは逆に分泌を抑えることがわかっている。脳腫瘍や手術により,バソプレシンの合成や分泌が障害されると尿崩症がおこる。 バソプレシンは薬剤としては尿崩症の特効薬とされるが,一部のアミノ酸を入れかえた合成類似品も多い。…

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