基準値
陰性(-)
膵臓から分泌されるインスリンが減少したり働きが弱くなると、血糖を処理できなくなり、血液中の血糖値が上昇
血糖値が160~180mg/dℓ以上になると糖が尿中に出現し、陽性に
おもに糖尿病の検査として行いますが、一度陽性だからといって、すぐに糖尿病に結びつくわけではありません。検査当日は絶食、前日の飲酒は控えます。
糖尿病になると陽性に
尿糖は、血液中のブドウ糖(血糖)が尿中に漏れ出てきたもので、おもに糖尿病のスクリーニング(ふるい分け)検査として行われています。
しかし、糖尿病などで血糖値がこれ以上に高くなると、腎臓での糖の処理能力が限度を超えて尿中に糖が出現し、尿糖は陽性になります。
尿糖陽性は糖尿病の特異的指標ではない
食事で極めて多量の糖分を摂取すると、血糖値が異常に上昇して尿中に出て、尿糖が陽性になります。したがって、尿糖が1回陽性だったからといって、すぐに糖尿病に結びつくわけではありません。
また、血糖値が160~180mg/dℓ以下で、とくに腎臓に病気がなくても尿糖の出る場合があります。これを腎性糖尿といい、腎臓での糖処理の機構がもともと低いためにおこる現象で、この場合は放置しておいても心配ありません。
食後2~3時間たってからの尿で検査
採尿時の注意事項については、前項の尿蛋白(→参照)を参照ください。検査は、試験紙によって尿糖が出ているか否かを調べます。出ていなければ陰性(-)です。
尿糖は、食事の摂取によって数値が大きく変わります。検査当日の朝は絶食し、前日の夕食は早めにとり、アルコールは控えます。
陽性、偽陽性ならくわしく検査
尿糖が陽性(+)、あるいは偽陽性(±)の場合は血糖検査を行います。
また、糖尿病というのは
なお、自分で糖尿病のコントロール具合をみる方法に、尿糖検査と自己血糖検査(SMBG)があります。尿糖検査は、市販されている安価な試験紙で簡単に尿糖の有無が確認できます。この場合、毎食前および就寝前の4回行います。検査1時間前に排尿し、検査直前にあらためて排尿して、その尿で検査するほうが確かな情報が得られます。ただし、尿糖は尿の濃縮の程度で陰性・陽性になるため、この検査はおおよそのコントロール具合をみるもので、正確にみる場合は自己血糖検査が行われています。自己血糖検査は、市販されている簡易自己測定器という機械を使います。自己測定を行いたい場合は主治医に相談してください。
疑われるおもな病気などは
◆陽性→糖尿病、内分泌疾患(クッシング症候群、甲状腺機能亢進症など)、肝疾患(とくに慢性肝炎、肝硬変)、膵組織の破壊(膵炎、膵臓がんなど)、腎性糖尿、妊娠、薬剤の影響など
医師が使う一般用語
「にょうとう」
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報
尿中のブドウ糖。血液中のブドウ糖(血糖)が尿中に漏れ出たもの。糖尿病を判定するためによく用いられる臨床検査項目として重要なものの一つである。健常者ではブドウ糖は糸球体で濾過(ろか)され、近位尿細管でそのほとんどが吸収されたのち、さらに遠位尿細管で再吸収される。それでも尿中には1デシリットル当り2~20ミリグラム程度が検出されるが、これは正常の範囲である。
尿中に排泄(はいせつ)された尿糖の数値の上昇は、尿細管の再吸収量の上限値(閾値(いきち))を超えて血糖が上昇した場合や、腎(じん)の糖排出機能が低下した場合などにみられる。血中に存在する糖の値を血糖値といい、この値が1デシリットル当り180ミリグラム以上になると高血糖とされ、尿中に糖が排出されるようになる。また血糖値が高くない場合でも、尿細管による糖の再吸収が障害されることにより尿糖が多くなった状態は腎性糖尿(尿糖)とよばれる。このほか、糖質を大量に摂取した場合や、運動後、外傷後などにも尿糖の増加が認められることがある。尿糖の検査は正確な値を得るために、一度排尿したのちにふたたび採尿する2回採尿法が用いられる。
[編集部 2016年7月19日]
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
…いずれにせよ,これらの原因が単独で糖尿病発症をもたらすのではなく,多くの因子が複雑にからみあって発症すると考えられる。
[病態生理および症状]
インシュリン分泌が不足すると,血糖が利用されないためにその濃度は上昇し(高血糖),それが160~180mg/dlを超えると腎臓から尿中へブドウ糖が漏れ出て尿糖陽性となる。すなわち多量のエネルギー源が使用されないまま尿中に失われるため,体組織はエネルギー不足状態となり,そのため空腹感が強く,食欲が亢進する。…
※「尿糖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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