山繭(読み)ヤママユ

デジタル大辞泉 「山繭」の意味・読み・例文・類語

やま‐まゆ【山繭/天蚕】

鱗翅りんし目ヤママユガ科のガ。はね開張約15センチと大形で、色は赤褐・暗褐・黄褐色など変異に富む。前翅の先は鎌状にとがり、各翅の中央に眼状紋がある。幼虫緑色で毛のまばらに生えた芋虫クヌギコナラなどの葉を食い、葉間に黄緑色の大きな繭を作る。繭からは良質の絹糸がとれ、屋内飼育はできないので木に網をかけて放し飼いとする。日本・朝鮮半島・台湾などに分布。てんさん。やままゆが。 夏》「庭の木に―飼ひし葉のこぼれ/鳴雪

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山繭」の意味・わかりやすい解説

山繭
やままゆ

文芸雑誌。1924年(大正13)12月創刊。29年(昭和4)2月終刊。全36冊。石丸重治が中心となり、小林秀雄永井龍男(たつお)、富永太郎河上徹太郎(てつたろう)らを初期の同人とし、のち堀辰雄(たつお)、瀧口(たきぐち)修造を加え、中原中也(ちゅうや)らが寄稿。昭和文学における芸術派の文学者たちの文学的出発を飾った記念碑的な雑誌。富永太郎の詩や小林秀雄の小説『ポンキンの笑い』(のち『女とポンキン』と改題)、堀辰雄の小説『ルウベンスの偽画』(前半)、永井龍男の小説『外套(がいとう)』、河上徹太郎の音楽評論などが掲げられた。74年(昭和49)日本近代文学館より復刻された。

[千葉俊二]

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