川島皇子(読み)カワシマノミコ

関連語 原島

精選版 日本国語大辞典 「川島皇子」の意味・読み・例文・類語

かわしま‐の‐みこかはしま‥【川島皇子】

  1. 天智天皇の皇子。天武天皇一〇年(六八一勅命によって、忍壁(おさかべ)親王らとともに帝紀その他の国史編纂事業に従事。「万葉集」「懐風藻」に作品所収斉明天皇三~持統天皇五年(六五七‐六九一

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改訂新版 世界大百科事典 「川島皇子」の意味・わかりやすい解説

川島皇子 (かわしまのみこ)
生没年:657-691(斉明3-持統5)

天智天皇の第2皇子。母は忍海小竜(おしぬみのおたつ)の女で宮人の色夫古娘(しこぶこのいらつめ)。681年(天武10)《帝紀及び上古諸事》の編纂に参与し,685年浄大参を授けられた。はじめ天武天皇の子大津皇子と親しかった。しかし686年(朱鳥1)大津謀反を計画していると密告し,持統天皇らから忠誠をたたえられたが,友人情誼のうすいことを非難したという。《懐風藻》にその伝と詩1首が収められている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川島皇子」の意味・わかりやすい解説

川島皇子
かわしまのおうじ

[生]斉明3(657)
[没]持統5(691).9.9.
天智天皇の第2皇子。母は忍海造小竜(おしぬみのみやつこおたつ)の娘,忍海色夫古娘(おしぬみのしこぶこのいらつめ)。天武天皇の娘,泊瀬部皇女(はつせべのこうじょ)を妃とした。天武10(681)年,詔を奉じて「帝紀」および「上古諸事」を選ぶという国史編纂の大事業を主宰した。朱鳥1(686)年,天武天皇崩御直後,第3子大津皇子叛意があることを,天武天皇の后(→持統天皇)に密告したと伝えられる。『万葉集』『懐風藻』に作品を残している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「川島皇子」の意味・わかりやすい解説

川島皇子(かわしまのおうじ)
かわしまのおうじ
(657―691)

天智(てんじ)天皇の皇子。母は忍海造小竜(おしぬみのみやつこおたつ)の女(むすめ)色夫古娘(しこふこのいらつめ)。妃が天武天皇の皇女泊瀬部皇女(はつせべのこうじょ)なので天皇に重んぜられ、679年(天武天皇8)天皇、皇后、6皇子が吉野宮で天皇の詔に随(したが)い逆らうことなきを誓った儀に参加した。681年「帝紀及び上古諸事」の記定には筆頭の編纂(へんさん)者として参与した。686年(朱鳥1)天武天皇崩御直後、大津皇子と親友であったにもかかわらず、その謀反を密告、大津は自殺した。持統(じとう)天皇5年9月9日逝去。

[横田健一]


川島皇子(かわしまのみこ)
かわしまのみこ

川島皇子

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「川島皇子」の解説

川島皇子 かわしまのおうじ

657-691 飛鳥(あすか)時代,天智天皇の皇子。
斉明(さいめい)天皇3年生まれ。母は忍海小竜(おしぬみの-おたつ)の娘,色夫古娘(しこふこのいらつめ)。天武天皇の皇女泊瀬部(はつせべの)皇女を妃とした。天武天皇8年(679)天皇と皇后,6皇子との吉野宮での盟約に参加。10年忍壁(おさかべ)親王らと「帝紀」および「上古諸事」の記定にあたる。のち親友であった大津皇子の謀反を密告した。持統天皇5年9月9日死去。35歳。

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旺文社日本史事典 三訂版 「川島皇子」の解説

川島皇子
かわしまのおうじ

657〜691
天智天皇の皇子
681年天武天皇の命で刑部 (おさかべ) 親王らと『帝紀』を編纂した。『万葉集』『懐風藻』に作品がある。

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世界大百科事典(旧版)内の川島皇子の言及

【大津皇子】より

…また性すこぶる豪放で法度に拘泥せず,しかも謙虚に士を遇したので衆望をあつめたとも伝える。その謀反事件は新羅の僧行心(こうじん)の教唆から企てられ,川島皇子の密告で発覚したという(《懐風藻》)が,逮捕から処刑までの迅速さや大津以外の関係者がほとんど罪をえていない点などにより,事件が皇太子草壁とその母后鸕野(うの)皇女(持統天皇)側の策謀かともみられている。ただ気骨,力量人にすぐれたこの皇子に王位への野心がまったくなかったとするのも当を失する。…

※「川島皇子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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