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古代における皇位継承の次第(しだい)を中心とした記録。「帝皇日継(ていおうのひつぎ)」ともいう。旧辞(くじ)とともに『古事記』『日本書紀』の編纂(へんさん)材料となった。帝紀や旧辞には異説が多く、内容にも出入り・異同が少なくなかったが、天武(てんむ)天皇はこれを整理して一つの正説を定めようとした。これが『古事記』編纂の動機となった。したがって帝紀の具体的な内容は『古事記』の記載から帰納的に推測される。すなわち天皇の名、皇居の所在、治世中の重要事項、后妃(こうひ)・皇子女の名、それに関する重要事項、天皇の享年、治世年数、山陵の所在などの諸項目にわたるが、歴代にすべてこれらが含まれていたのではなく、そのうちの若干を欠くこともあったと思われる。
[黛 弘道]
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「古事記」編纂材料の一つ。同書序文は「先紀」「帝皇日継(ひつぎ)」とも記し,「旧辞(きゅうじ)」とともに編纂材料としたとのべる。また「日本書紀」天武10年(681)3月条は,川島皇子や刑部(おさかべ)皇子らに詔して「帝紀」および上古の諸事を記し定めさせたと記す。内容については,その名称と「古事記」の記事の分類から,系譜的記事など天皇の事績を編年で記したものであったとする見方が,津田左右吉以来の通説となっている。しかし「古事記」の系譜的記事は同書編者によって体系づけられたとみるのが妥当で,実際のところは明らかではない。成立年代もはっきりしないが,6世紀中頃と推測される。
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…《日本書紀》の推古28年(620)条に〈天皇記及国記,臣・連・伴造・国造・百八十部幷公民等本記を録す〉とある。内容は不明だが,《古事記》の原史料となった《帝紀》《旧辞》のうちの《帝紀》に《天皇記》が相当するとすれば,《国記》は《旧辞》で,神代以来の物語の集成かという。《天皇記》《国記》は蘇我大臣家に伝わり,645年(大化1)大臣家が焼かれたとき,《国記》のみは船恵尺(ふなのえさか)が救いだして中大兄(なかのおおえ)皇子に献上したというが残っていない。…
※「帝紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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