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工作機械工業 こうさくきかいこうぎょう

百科事典マイペディアの解説

工作機械工業【こうさくきかいこうぎょう】

工作機械は機械を作る機械ともいわれ,その工作精度のいかんが各種産業機械などの品質・性能を決定するため,工作機械工業には高い技術水準が要求される。同時にその成立,発展には,市場として機械工業一般がかなり発達していることが前提となる。

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世界大百科事典 第2版の解説

こうさくきかいこうぎょう【工作機械工業】

〈機械をつくる機械(マザーマシン)〉を製造する工業をいう。工作機械は刃物(工具)を用いて金属素材を切削加工し,その方式は,被加工物の形状によって〈丸もの加工〉と〈角もの加工〉に大別できる。丸もの加工は,丸棒状の被加工物を加工するもので,おもに被加工物に回転運動を与え,それに対し直角に工具をあてて切削する。代表的なものに旋盤がある。角もの加工は,方形(立方体や直方体)の被加工物を工具で切削するもので,工具を回転させるものとしてボール盤(穴あけ),中ぐり盤フライス盤などがあり,平行運動させるものに平削り盤がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

工作機械工業
こうさくきかいこうぎょう

工作機械(機械を製作する機械)を製造する工業。工作機械は、鉄などの金属素材から切削、研削等により不要部分を除去、加工し、工作物を製作する機械である。具体的には、旋盤、ボール盤、中ぐり盤、フライス盤、研削盤、歯車機械、放電加工機、NC(numerical control=数値制御)工作機械(数値制御工作機械)等がある。また、金属に限らず、セラミックス、ガラス、木材といった非金属を加工する類似の工作機械も存在する。これら工作機械の発達は、工作物の形状や精度を規定し、さらに、一国の機械工業の技術水準に影響を与えることになる。J・ワットの蒸気機関の発明は、1775年、J・ウィルキンソンの開発した改良中ぐり盤を使用したシリンダーの精密加工により実現している。そして、フライス盤、タレット旋盤等の工作機械の発達は、互換可能な部品による銃の大量生産を可能にした。20世紀に入ってからの自動車の大量生産は、一段と精度の高いトランスファーマシン等の新しい工作機械の出現に依存していた。高速化、専用機化、超硬工具の発明等により、切削工具の改良が進んだ結果、工作機械が進歩・発展し、これが他産業の変革の基盤となってきた。[大西勝明]

日本の工作機械工業の歴史

日本では、1889年(明治22)に池貝鉄工(のちの池貝)の前身である池貝工場が設立され、工作機械の生産が開始されている。だが、国産の工作機械が他産業と密接に連動して発展したわけではなかった。兵器生産、鉄道、紡績機械と関連した少量の工作機械の生産は、外国からの導入技術に依存するものであった。第一次世界大戦中や第二次世界大戦時には輸入がとだえ、一時国産工作機械の生産が急上昇しているが、兵器生産に傾斜し、また技術面で外国製に劣っていたことから、日本の工作機械工業の戦前の産業基盤は脆弱(ぜいじゃく)であった。
 日本の工作機械工業は第二次世界大戦後に本格的な発展を遂げている。とくに高度成長期における時計、カメラ、ミシンに続き、家電製品、自動車といった量産型機械工業の展開が大きな市場となり、工作機械工業は目覚ましく躍進した。さらに、1970年(昭和45)には、工作機械工業が一つの画期を迎えている。このころまで、日本のNC工作機械の生産は、海外からの技術導入によって支えられていた。しかし、1970年以降、日本の工作機械工業は、生産の過半を、複数の工具を装備したマシニングセンターを含むNC工作機械にシフトさせながら輸出を拡大し、低成長下でも持続的に成長することになる。その後1982年以降、2010年代に中国に抜かれるまで日本の工作機械の生産額は世界でトップシェアの30%以上を占めていた。高精度化、主軸速度や送り速度等の高速化、効率化を課題とした機種を開発しており、また、NC化率は、80%を上回っていた。ただ、1990年代より低迷し、主力企業の倒産を伴う抜本的な産業再編成を余儀なくされ、2000年(平成12)までに、従業員2万人以上、事業所数の50%近くを消失している。2014年の事業所数は616、従業者数は4万8795人、製造品出荷額は約1兆9212億円(いずれも『工業統計表』金属工作機械製造業・従業者4人以上の事業所の数値)で、リーマン・ショック後は持ち直している。2015年の輸出額は約9321億円(『貿易統計』工作機械)で、北米から中国、アジアに重点を移行しながら、2011年以降、約7000億円から9000億円の輸出額を維持している。一方、特殊な工作機械が輸入されている。[大西勝明]

近年の動向

2010年代、工作機械工業は機械の自動化と新興国の工業化に対応した海外生産の拡大等、国際的な規模での生産体制の再編成を進めており、そのことは次のような画期的な事態と連動している。とくに、アメリカでの3Dプリンターの出現とドイツが主導する第四次産業革命とされるインダストリー4.0が、工作機械工業に大きな影響を与えそうである。
 3Dプリンターは、ポリマー材や微細な金属粉に1つないし複数のレーザー光線や電子ビームを照射して多数の層を重ね、積層造形し、設計図通りの形状を造りあげる、製作時間とコスト面で画期的な機械である。デジタル化により切削、研削をせずに設計図通りの形状を製作できる3Dプリンターの登場は工作機械市場を変化させている。
 他方、ドイツのインダストリー4.0は、高次元の自動化によるものづくりを目ざすものである。これに関連して日本でも、工作機械の数値制御装置(NC)が人工知能(AI)を搭載し、IoT(モノのインターネット)化し、高精度化や高速度化等、従来のNC化の域を超えた製作を実現している。つまり、工作機械の稼働状況をIoTを活用して遠隔管理したり、製作状態をカメラ等により常時監視するほか、アルゴリズム(計算手法)に基づき、主軸や軸受けをはじめ製作に関するデータを収集・蓄積・分析し、自ら異常についての判断を下す学習能力を備えた工作機械が誕生している。これにより、稼働状態の診断、工具の欠損の予知、部品の迅速な交換等、適切な対処を容易にし、保守業務の効率化と故障などによる生産停止時間の削減を可能としている。さらに、加工プロセスを担う機械間の連携の高密度化、一連の製造工程の最適化が提示され、工作機械の稼働率が上昇傾向にある。工作機械のデジタル化が、工作機械そのものとその作業環境や市場動向をも大きく変化させつつある。[大西勝明]

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