琉球神道記(読み)リュウキュウシントウキ

デジタル大辞泉 「琉球神道記」の意味・読み・例文・類語

りゅうきゅうしんとうき〔リウキウシンタウキ〕【琉球神道記】

島津氏が統治する以前の琉球宗教について記した書。浄土宗の僧袋中たいちゅう[1552~1639]著。多数神話説話収録

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精選版 日本国語大辞典 「琉球神道記」の意味・読み・例文・類語

りゅうきゅうしんとうきリウキウシンタウキ【琉球神道記】

  1. 江戸前期の仏教・紀行書。五巻。浄土宗の僧、袋中(良定)著。慶長八年(一六〇三)以後琉球に滞在したおりに、琉球王府の官人馬幸明の要請により執筆。同一三年完成し、慶安元年(一六四八)刊行。巻一~三は仏教の世界観や伝来に関する記事。巻四・五は琉球の神々の伝説本土から渡来した神仏に関する記録を収載し、中世末期の琉球の宗教事情を窺う上で貴重。

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日本歴史地名大系 「琉球神道記」の解説

琉球神道記
りゆうきゆうしんとうき

五巻 袋中著

解説 浄土宗僧袋中は一六〇三年から〇六年まで島津氏侵攻以前の琉球に滞在したが、この時の見聞はおもに第五巻に記される。京都袋中庵の自筆稿本には慶長一三年の識語があり、同年成立か。諸国寺社縁起を記した説話集安居院聖覚の「神道集」に出る那智の各社に琉球七社(または八社)を見立てており、「琉球神道記」の名もこれから出たもの。古琉球の宗教ばかりでなく、さまざまな説話や、当時謡われたオモロ梵字で書き記してあるなど、同じ袋中の「琉球往来」とともに古琉球を知るうえで貴重な史料となっている。「琉球国由来記」にも一〇ヵ所以上引用されるなど、琉球の史書に与えた影響も大きい。版本は一六四八年に出版、複製本が一九三四年に刊行された。

活字本 「琉球神道記弁蓮社袋中集」(一九七二年、角川書店)

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改訂新版 世界大百科事典 「琉球神道記」の意味・わかりやすい解説

琉球神道記 (りゅうきゅうしんとうき)

1603年に渡球した浄土宗名越派の僧袋中が,琉球の黄冠馬幸明(儀間真常)の請いに応じて1605年に著したもの。5巻。《琉球神道記》と題するが,第1巻は三界のこと,第2巻はインド仏教,第3巻には中国諸代帝王のことを記す。第4巻に琉球の諸寺を本尊別に列挙するが諸寺の説明はなく,本尊の教義的説明である。第5巻は琉球の神仏習合寺院(おもに真言宗)をあげ,さらに日本の神祇信仰に言及する。同巻の〈キンマモン事〉条に〈已下ハ正ク琉球国神道〉と記し以下,固有信仰,説話,風俗などが記されている。本書は袋中の《琉球往来》とともに,日本の琉球関係文献で最も重要な書の一つである。
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