無事(読み)ブジ

デジタル大辞泉 「無事」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐じ【無事】

[名・形動]
普段と変わりないこと。また、そのさま。「日々を無事に送る」「平穏無事
過失事故のないこと。また、そのさま。「航海無事を祈る」「無事任務を果たす」「手術無事終了する」
健康で元気なこと。つつがないこと。また、そのさま。「無事を知らせる便り」「父母無事な顔を見て喜ぶ」
なすべき事がないこと。ひまな状態
われ―に苦みて、外に出でて遊ばんことを請い」〈鴎外訳・即興詩人
何もしないこと。
「只道士の術を学んで、無為を業とし、―を事とす」〈太平記・一〉
[類語](1)(2平安平穏安穏あんのん安全安泰安楽・事無く・つつが無く無難に穏やか大丈夫平らか温和安寧あんねい小康事無しセーフティー安心確実無難無害無毒/(3ぴんしゃんぴんぴんしゃんとしゃんしゃんしゃきっとしゃっきり不死身強靭タフ生き生き意気軒昂けんこう老健健やか強い元気健康丈夫無病息災健勝清勝壮健健全達者まめつつがない息災強壮強健頑健矍鑠かくしゃく

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精選版 日本国語大辞典 「無事」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐じ【無事】

〘名〙 (形動)
① とりたてて事のないこと。平穏であること。平和であること。また、そのさま。有事に対していう。
※懐風藻(751)侍宴〈藤原総前〉「無為自無事、垂拱勿労塵」
※太平記(14C後)一二「今逆徒不測滅て天下無事に属すと雖」 〔戦国策‐燕策・文公〕
無病で、健康なこと。また、そのさま。
※上杉家文書‐元亀四年(1573)四月二五日・河上富信書状「二才之御曹子様人質に信長へ有御渡、御無事之由」
作為をもって行なわず自然のままであること。また、そのような境地やさま。
※太平記(14C後)一「只道士の術を学んで、無為(ぶゐ)を業とし、無事を事とす」 〔老子‐六三〕
④ 過失や事故がないこと。無難であること。また、そのさま。
※三河物語(1626頃)二「一人成供、何かと申者も候はば、又、其に付て、一見する者も御座候はば、此御ブヂ罷成難し」
⑤ するべき事がないこと。暇なさま。
※東路記(1685)美濃関が原より越前の敦駕へ行道「冬は何事をも調がたし。故に夏は鬧はしくして、冬は無事也」

む‐じ【無事】

〘名〙 (形動) =ぶじ(無事)
捷解新語(1676)一〇「御くにもとわみなみな、御むしのよしに御さ候や」

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普及版 字通 「無事」の読み・字形・画数・意味

【無事】ぶじ

何事もなし。〔老子、五十七〕我(われ)無事ならば、民自ら富み、我無欲ならば、民自ら樸なり。

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