犯行を反復する習癖の発現として犯罪が行われる場合をいう。現行法は常習賭博罪(刑法186条1項),常習傷害罪,常習暴行罪,常習脅迫罪,常習器物損壊罪(〈暴力行為等処罰ニ関スル法律〉1条の3),常習強窃盗罪(〈盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律〉2条)等において,個別的に,常習として行われたことを刑の加重事由としている。すなわち,反復して行われる犯罪形態は違法性が強いために刑も重くなるのである。常習性は,常習賭博罪を例にとると,前科・賭博の性質,方法,度数,賭金額等から認定される。専業者や職業犯罪者でなくてもまた累犯と異なり前科がなくても常習犯たりうる。
しかし犯罪学上問題になるのはやはり前科をもつ者が常習的に犯罪を繰り返す場合である。このような常習的累犯者には精神医学的な障害のある者も多いといわれるが,さらに,刑事施設での生活のあり方,出所後の受入れ体制の不備,逸脱者としての自己概念をつくりあげてしまうこと等も常習累犯の原因として指摘されている。常習累犯は日本だけでなくドイツやイギリス等でも多い。各国はその対策の一環として常習累犯に対する一般的規定をおき,保安処分あるいは刑の加重をもって対処している。たとえばドイツ刑法は一定の要件の下に社会治療処分施設への収容または保安監置を規定し,原則として刑の執行に先だってこれらの処分を行うこととしている。日本の改正刑法草案59条は常習累犯に対して不定期刑をもって対処することにした。しかし,この不定期刑については責任主義と一致しないのではないかという疑問,さらに,その効果に対する疑問が出されている。
→累犯
執筆者:林 美月子
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一定の犯罪を反復して行う習癖のある犯罪者。固執性犯罪者、性癖犯罪者ともいう。慣習性犯罪者と職業犯罪者とに区別される。刑法には常習賭博(とばく)罪があり、特別法では、盗犯等防止法・暴力行為等処罰法・麻薬取締法などに常習犯の規定があり、刑が加重されている。しばしば累犯に陥るが、累犯でなくとも常習犯の認定は可能である。早発性・労働嫌忌を特徴とする。社会的危険性が高く、その習癖の矯正も困難なため、不定期刑や保安処分を採用する立法例もある。改正刑法草案は、常習者と認定された累犯者(常習累犯)に対し、不定期刑の採用を考慮している。
[須々木主一]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…しかし,これに対しては,責任主義,とくに当該行為のみに注目してそれに見合う刑罰を科すべきだとする行為責任主義に反するのではないかという批判もある。累犯は常習犯と異なり,必ずしも犯行を反復する習癖に基づかなくてもよい。しかし,実際上は両者が重なって常習累犯となることも多い。…
※「常習犯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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