少年法52条の規定。「懲役10年以上15年以下」のように短期と長期の刑期を示し、幅を持たせる量刑のこと。2014年の少年法改正で短期は最長5年から10年に、長期は同10年から15年に、それぞれ厳罰化された。
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刑期を特定せずに言い渡される自由刑の一種である。まったく特定のない絶対的不定期刑と,上限・下限をもつ相対的不定期刑に分かれるが,とくに前者には罪刑法定主義上の疑義がある。18世紀から19世紀にかけての近代的刑法において採用された自由刑は,犯罪に見合った一定の刑期を有する定期刑とされ,期間の定めのない不定期刑は,せいぜい重大な犯罪に対する例外的刑罰とされるにとどまった。しかし,自由刑によって積極的に犯罪者の改善矯正を目ざせば,裁判時における刑期の特定は無用の拘束とされ,拘禁期間は改善目標達成に関連して事後的に決まるものとなる。
このような考え方に基づく不定期刑は,行刑(ぎようけい)の発展においてヨーロッパ大陸に先行していたアメリカ合衆国の採るところとなり,1877年のニューヨーク州のエルマイラ矯正院におけるものを皮切りに20世紀に入って多くの州で定着をみた。その形態は種々であったが,多くは人権上の考慮もあってか相対的不定期刑であった。ヨーロッパではF.vonリストら新派刑法学者らの主張はあったが採用されず,定期刑に仮釈放のついたものが不定期刑類似の機能を果たした。日本も基本的にはこれを採り,例外的に,少年に対して長期3年以上の処断刑の場合は,その刑の範囲内で短期は5年以内長期は10年以内の相対的不定期刑を定めている(少年法52条)。その短期長期の意味には争いがあるが,保安拘禁を否定する立場からは,長期が行為責任に対応すべきものとなろう。改正刑法草案には常習累犯に対する相対的不定期刑が採用されている(59条)が,その実質は少なくとも短期1年の拘禁確保にあるなど,批判が多い。合衆国においても,1960年代後半から,手続的側面やふつりあいに長い収容期間に対する違憲判例が出はじめ,70年代には,人権保障の観点とともに,不定期性のもつ囚人心理への有害性の強調,さらには犯罪者改善理念そのものへの批判が表面化し,他方で拘禁隔離による再犯予防の見地から不定期刑による早期釈放の可能性が危険視されたことと相まって,カリフォルニア,イリノイなどの諸州で不定期刑制度の廃止が実現している。
執筆者:吉岡 一男
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刑を言い渡す際に刑期を定めず、執行の状況によって釈放の時期を決める自由刑。まったく刑期を定めない絶対的不定期刑と、長期と短期を定めて、その範囲内で釈放の時期を決める相対的不定期刑があるが、前者は刑期がまったく不確定で、罪刑法定主義に反する。それゆえ、通例、不定期刑とは相対的不定期刑を意味する。刑罰の目的として特別予防を強調するならば、受刑者の改善の程度によって刑期に弾力性をもたせることが望ましい。
しかし、不定期刑には、責任主義の原則に反する、長期と短期を定めるのが困難である、受刑者が早期釈放をねらって服従的態度をとる、刑期が長期になった場合人権保障上問題がある、仮釈放制度でも同様の改善効果を期待できる、といった批判があり、現行刑法は採用していない。例外的に、少年の可塑性を配慮した少年法が、処断刑が長期3年以上の有期懲役または禁錮のとき、処断刑の範囲内で長期と短期を定めて不定期刑を言い渡すことを認めているにすぎない(52条)。
[大出良知]
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