平年作(読み)へいねんさく

精選版 日本国語大辞典 「平年作」の意味・読み・例文・類語

へいねん‐さく【平年作】

〘名〙 過去五年間のうち、最高と最低の年を除いた三か年の収穫高を平均した収穫量。豊作でも凶作でもない、普通の収穫。平作
生活探求(1937‐38)〈島木健作〉二「平年作二俵半の悪田」

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デジタル大辞泉 「平年作」の意味・読み・例文・類語

へいねん‐さく【平年作】

農作物の収穫が平年並みであること。過去5か年の収穫高のうち、最高と最低の年を除いた3か年の平均収穫高が基準にされる。平作。

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改訂新版 世界大百科事典 「平年作」の意味・わかりやすい解説

平年作 (へいねんさく)

農作物の作柄を表す用語。農林水産省は,平年収量を100とした場合,作況指数が99~101のときを〈並み〉として公表し,平年作と呼んでいる。ある年の平年収量は10a当りの平年収量に,その年の作付面積を乗じて算出する。10a当りの平年収量とは,作物栽培開始前,その年の気象を平年並みと見なし,また肥培管理なども一般に行われるとし,最近の栽培法の進歩状況を考慮して,実収量の趨勢(すうせい)を基に推定されるその年の予想収量である。農林水産省で行われている水稲の10a当り平年収量の算出法は,明治・大正から昭和20年代まで同一方法であったが,1953年以来,何回か改定された。しかし,過去一定年度の災害による減収量を見込んだ実収量の趨勢線を用いている点は共通している。10a当りの平年収量は年ごとに少しずつ上がっており,たとえば1977年455kg,78年460kg,79年466kg,80年471kg,81年474kgとなっている。平年収量に類似した用語に農業共済で用いている基準収量(基準収穫量)がある。水稲についてみると,農家の水田ごとに10a当りの基準収量が定められており,基準収量に基づいて,損害評価が行われ,共済掛金や災害時に支払われる共済金が算出される。基準収量に比べて3割以上の被害があったときに支払われるのが普通である。基準収量は農林水産大臣,知事,市町村の共済組合によって決定され,全国平均してみると,ふつう平年収量より若干高い。なお基準収量と収量基準はまったく違い,水稲の収量基準は,玄米重量をさしている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平年作」の意味・わかりやすい解説

平年作
へいねんさく
normal crop

略して平作ともいう。農作物,特に米,麦などの収穫高 (作柄) が通常であること。米の場合,前年までの毎年の平均反あたり収量に,気象状態や農作技術などの条件を入れて数学的に傾向線を出したり,過去5年間の収穫高のうち,最高と最低との年次を除いた3年間の収穫高を平均して出したりする。

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