朝日日本歴史人物事典 「平盛時」の解説
平盛時
鎌倉初期の幕府吏僚。養和1(1181)年近衛基実の娘通子の侍始に所司として名がみえるが,その後鎌倉に下向,元暦1(1184)年には問注所に候じている。政所にも伺候して実務に携わるが,もっぱら源頼朝の右筆として重用された。特に文治・建久年間(1185~99)に活躍,頼朝御教書の奉者として頻出する。訴訟の奉行も担当し,裁許の奉書も多い。頼朝の信任を得,頼朝書状のうち大江広元と盛時の手跡になるものには頼朝の判を加えないこと,さらに頼朝多忙の際には頼朝の判に代え広元もしくは盛時の判で代用することが示されている。頼朝死後,頼家,実朝の政所にも候じているが,目立った活動はみられない。
(奥田環)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報