幾許(読み)ココダ

デジタル大辞泉 「幾許」の意味・読み・例文・類語

ここ‐だ【幾許】

[副]
数量の多いさまを表す。たくさん。多く
「誰が園の梅の花そもひさかたの清き月夜つくよに―散り来る」〈・二三二五〉
程度のはなはだしいさまを表す。こんなにもはなはだしく。たいそう。
荒磯ありそ越す波をかしこみ淡路島見ずや過ぎなむ―近きを」〈・一一八〇〉

ここ‐ら【幾許】

[副]
数量の多いさま。たくさん。多く。
「―のおほやけ人に見せて恥を見せむ」〈竹取
程度のはなはだしいさま。たいへん。非常に。
「立ち寄れば梅の花笠匂ふのもなほわび人は―濡れけり」〈宇津保春日詣

ここ‐ば【幾許】

[副]《「ここだ」の音変化》数量・程度がはなはだしい意を表す。たくさん。たいそう。はなはだしく。
足柄あしがりのあきなの山に引こ舟のしり引かしもよ―児がたに」〈・三四三一〉

いく‐だ【幾許】

[副](下に打消しの語を伴って用いる)いくら。どれほど。
「さ寝そめて―もあらねば白妙の帯乞ふべしや恋も過ぎねば」〈・二〇二三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「幾許」の意味・読み・例文・類語

ここ‐だ【幾許】

  1. 〘 副詞 〙 ( 指示代名詞「こ」の系統に属する語。「も」を伴っても用いる ) 身近な見聞体験の中に、程度のはなはだしいものを発見したときの、その程度のはなはだしさをさしていう。こんなにもはなはだしく。かくも多く。たいそう。ここだく。ここば。ここばく。
    1. [初出の実例]「妹が家に雪かも降ると見るまでに許々陁(ココダ)もまがふ梅の花かも」(出典万葉集(8C後)五・八四四)
    2. 「多麻河に晒(さら)手作(てづくり)さらさらに何そこの子の己許太(ココダ)(かな)しき」(出典:万葉集(8C後)一四・三三七三)

ここ‐ら【幾許】

  1. 〘 副詞 〙
  2. 程度のはなはだしいさま。こんなにもはなはだしく。たいそう。ここだ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「もみぢばのちりてつもれる我やどにたれをまつむしここらなくらん〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋上・二〇三)
  3. 数量の多いさま。非常に。多量に。
    1. [初出の実例]「ここら見つる中に、これに似たる帯なし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)

ここ‐ば【幾許】

  1. 〘 副詞 〙 はなはだしく。たいそう。ここだ。ここばく。こくばく。
    1. [初出の実例]「白雲の絶えにし妹をあぜせろと心に乗りて許己婆(ココバ)(かな)しけ」(出典:万葉集(8C後)一四・三五一七)
    2. 「秋の夜を長みにかあらむ何ぞ許己波(ココバ)いの寝らえぬも独り寝(ぬ)ればか」(出典:万葉集(8C後)一五・三六八四)

こくば‐く【幾許】

  1. 〘 副詞 〙 ( 副詞「ここばく(幾許)」の変化したものか ) =ここば(幾許)
    1. [初出の実例]「こくばくの上手どもにまされり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上下)

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普及版 字通 「幾許」の読み・字形・画数・意味

【幾許】ききよ・いくばく

何ほど。〔文選古詩十九首、十〕河くして且つ淺し 相ひ去ること復(ま)た許ぞ

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