社会化の形式を研究対象とすべきであるとする社会学上の立場で、ジンメルを創始者とする。彼は、初期の総合社会学が、従来の社会諸科学の成果を集めたものにすぎず、科学的な厳密性を欠くと批判し、社会学の固有の研究対象をとくに社会的なものに求めることによって、社会学を他の諸科学から区別される専門科学としようとした。彼によれば、広義の社会は人々の心的相互作用、すなわち社会化において成立するが、この社会化は概念的には、それを成立させる経済的、政治的、あるいは宗教的といった目的や関心や動機づけにかかわる内容と、この内容を実現させる形式とに区別される。社会の内容的側面は、すでに経済学や政治学の対象とされてきたが、社会化の形式は、社会においてとくに社会的なものでありながら、従来は科学の対象とされてこなかった。そこで社会学は、これを対象とすることによって、固有の研究対象をもつ専門科学として成立する。こう考えて彼は、上位と下位、闘争と競争、模倣と分業などの社会化の形式を抽出して分析した。
この立場は、社会学に独自の研究対象を切り開くものとして、多くの人々に影響を与え、ドイツではフィアカントやウィーゼ、アメリカではロスやスモール、日本では高田保馬(やすま)らによって継承、発展させられてきた。しかし、体系化され緻密(ちみつ)化されるにつれ、1930年代に入ると非現実的という批判も生じた。
[居安 正]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… ジンメルは,一方でディルタイ,ベルグソンとともに〈生の哲学〉者として名高い。しかし他方〈形式社会学〉を提唱し,その礎石を造形して社会学の学問的自立に大きく貢献したことでも知られる。これら二つの要素はどう結びつくのか。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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