御経塚遺跡(読み)おきようづかいせき

日本歴史地名大系 「御経塚遺跡」の解説

御経塚遺跡
おきようづかいせき

[現在地名]野々市町御経塚町

手取川扇状地扇端北東部にあたる沖積地に位置する縄文後期・晩期集落遺跡。国指定史跡で、現在国道八号西側の遺跡主要部分は史跡公園として整備され、隣接地に埋蔵文化財収蔵庫がある。明治末年の耕地整理中に発見され、昭和三一年(一九五六)以降一三次にわたる発掘調査が行われ、竪穴住居跡六・炉跡二二・土坑約二〇〇・配石遺構三などを検出

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「御経塚遺跡」の意味・わかりやすい解説

御経塚遺跡 (おきょうづかいせき)

石川県野々市市御経塚,手取川扇状地北部扇端,標高10mに位置する縄文時代後・晩期の集落遺跡。近辺に,八日市新保(ようかいちしんぽ)・中屋などの同期の遺跡がある。遺跡の規模は,300m×250mと推定されており,うち1万5000m2が1977年3月史跡指定を受けた。1956年3月旧押野村史編集事業の一環として発掘調査が実施され,御経塚式土器が設定された。この調査において,岐阜県から北陸地方で多出する御物(ぎよぶつ)石器が安置された状態で発見され,発掘調査による初の出土例となった。その後,国道8号線バイパス敷設,宅地造成などに伴って十数次に及ぶ調査が実施されており,膨大な遺物が検出されている。土器の多くは,縄文時代後期後半に所属し,近畿地方の元住吉山式・宮滝式と強い関連をもつ。また,発掘例の希少な後・晩期住居跡数棟と,炉跡22基が発見されている。
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国指定史跡ガイド 「御経塚遺跡」の解説

おきょうづかいせき【御経塚遺跡】


石川県野々市(ののいち)市御経塚にある集落跡。金沢市の西南郊外に広がる水田地帯に立地する、縄文時代後期から晩期の大型集落遺跡で、縄文時代晩期前葉の「御経塚式土器」の標式遺跡として、1977年(昭和52)に国の史跡に指定された。中央部に広場をもつ、径約200mの円形もしくは馬蹄形の集落と考えられる。竪穴(たてあな)住居跡や土坑、配石遺構などが環状に発見され、土器をはじめ、土偶、耳飾りなどの土製品のほか、石鏃(せきぞく)、石斧(せきふ)、石皿、石剣、石刀、石鋸石器、石冠、御物(ぎょぶつ)石器、玉類など豊富な種類の石製品が出土した。とくに、用途は不明ながら祭祀用の道具ではないかと考えられている御物石器が、河原石を円形状に並べた遺構の中心から発見され、注目を集めた。現在は史跡公園として整備され、竪穴住居跡1軒を復元、隣接地に野々市市ふるさと歴史館が設置されている。JR北陸本線野々市駅から徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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