六訂版 家庭医学大全科 「心臓手術後の生活の注意」の解説
心臓手術後の生活の注意
(循環器の病気)
心臓の手術を受けたあとの生活上の注意点は、決して一様ではありません。基本的には信頼できる心臓病の主治医を決めて、生涯を通じて、その人にあった生活のアドバイスを受けるようにするのがよいでしょう。心臓手術を受けた人全員にぜひ守ってほしいことは、①自分の病名、②受けた手術の名前、③手術を受けた年月日、④手術を受けた施設名を確実に覚えておくことです。
手術を受けたのが子どもの場合は、教育のなかで必ずこの4項目を教えるようにしてください。ほとんどのケースで、心臓手術を受けた子どもは両親よりも長生きすることが高率に期待されるわけですから、ひとり立ちしたあと、なにか具合が悪くなって医師に相談するとしても、もともとの自分の病気のことを医師に伝えられなければ大変な不利益を被ることが考えられるからです。
最近、MRI対応の材質でできたコイルも出てきたので、コイル塞栓術を受けた場合にはMRI検査を受けられるかどうかについて、よく主治医に聞いておきましょう。
ファロー
もちろん、詳細な治し方は患者さんに応じて一人ひとり違うわけですが、標準的にはパッチを用いて
術後はチアノーゼが消失し、血液の流れ方は正常になりますが、ほとんどの場合、肺動脈弁閉鎖不全が現れるために右心室が拡大します。つまり、まったく正常な心臓になるというわけではなく、右心室に少し負担がかかるというマイナス面を克服しながら、正常と同じ血液の流れを獲得した状態だということがいえます。
十分に広げられないで術後に残っている肺動脈
ファロー四徴症の術後だからと一律にいえる問題ではなく、一人ひとりに応じたオーダーメイドの術後生活管理が必要だと思ってください。
他の疾患についても病気の種類により、また治したあとの心臓の状態により術後の生活の注意は、一人ひとりオーダーメイドという点では共通しています。その意味でも生涯という長い眼でみてもらえるような信頼できる主治医を決めて相談することが大切です。
術後に、心臓のなかにパッチや人工血管、人工弁などの人工物が入っているような場合には、細菌性心内膜炎の予防を確実に行うことが必要です。とくに、抜歯の際には抗生剤の予防投与が大切ですが、危険性の高さに応じて、また、患者さんの体質によっても予防投与の薬剤も方法も変わってきます。主治医に相談することをすすめます。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報