日本大百科全書(ニッポニカ) 「志方益三」の意味・わかりやすい解説
志方益三
しかたますぞう
(1895―1964)
化学者。東京都出身。東京帝国大学農学部農芸化学科卒業(1920)。大学在学中より鈴木梅太郎に師事、卒業後も創立されたばかりの理化学研究所に入り鈴木梅太郎のもとで研究を行った。その後ヨーロッパに留学し、チェコスロバキアのカール大学でヘイロウスキーに出会い、滴下水銀電極の研究に興味をもった。1923年(大正12)ふたたび彼の研究室を訪れ、研究に参加、ニトロベンゼンの滴下水銀電極による酸化還元の研究を完成し、さらに加電圧電解電流曲線を自記化する装置の製作に取り組み、ヘイロウスキー‐志方型の直流ポーラログラフィーを創案した。この方法は、電気分析法の一種で、溶液中の化学種の分析に使われる。1924年秋、第2号機をもって帰国。京都帝国大学で研究を進めた。1942年(昭和17)満州国(現、中国東北地区)大陸科学院に転出。1954年(昭和29)名古屋大学教授となり、1959年に退官。1956年学士院恩賜賞を受けた。
[荒川 泓]
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