コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

性教育 せいきょういく sex education

6件 の用語解説(性教育の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

性教育
せいきょういく
sex education

性に関する生物学的,生理学的な知識を与えるだけでなく,基本的人間関係の一形式としての性の意義を理解させ,またこれに対する態度を正しく導くための教育。性については「自然に理解し,習得すべきもの」という見解は改められ,積極的な教育の必要性が認められるようになってきたが,内容,方法について一致した見解は成立していない。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

せい‐きょういく〔‐ケウイク〕【性教育】

性に関する科学的知識や社会における男女としての認識を養い、社会的人格の完成を目ざす教育。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

性教育【せいきょういく】

青少年に,その肉体的・精神的成熟を考慮しつつ,人間の性およびそれに関する諸事象について,医学的,生理的また社会的な理解を得させ,道徳的態度を学ばせる教育活動。学校教育ではおもに保健体育の時間に行われる

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

世界大百科事典 第2版の解説

せいきょういく【性教育】

青少年の肉体的・精神的成熟や関心事を考慮しつつ,性についての科学的理解を得させ,性に関する生物的・心理的・社会的な関係と男女のあり方,道徳的態度を学ばせる教育。一般に動物は成熟し発情期になれば,本能的に性行為を営むことができる。しかし人間には発情期はなくいつでも性行為が可能であるが,近親相姦の禁忌など性に関してなんらかの規制が行われている。したがって教育により性行為のメカニズムを知り,性欲のコントロールや性的な規制を学ぶ必要が生じる。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

せいきょういく【性教育】

性についての科学的知識を与えるとともに、性道徳を身につけさせる教育。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

性教育
せいきょういく

1970年代の初めより普及、定着した用語で、広く「人間の性」に関する教育をさす。第二次世界大戦後の一時期に使われていた純潔教育ということばにかわるものとして用いられるようになった。初潮(初経)指導、精通指導、二次性徴性感染症予防などの性知識の伝達といった、狭義の教育と考えられがちであるが、これらは性教育の一部をなすものにすぎない。「人間の性」は、その人のパーソナリティの中心的な部分に組み込まれている基本的条件である。すなわち、その人が男性であるか女性であるかという事実や、それに対する認識は、人生観や思考、行動、社会的・職業的活動、友人の選択、服装、態度などさまざまなものに差異をもたらす要因となっている。つまり、人間の生涯を通じての生き方そのものまで左右される。しかも、「一人の人間の性」に関する条件づけは、幼児から成人に至る成長の過程で、家庭や学校、社会におけるさまざまな人間関係によってもたらされるものである。
 性教育とは、したがって、単に生理学的、解剖学的な教育のみでなく、人間関係における心理学的、社会学的な面や、その背景となる成育環境など、人間と人間の触れ合いを含む幅広い概念にたった教育、すなわち「人間の性」=ヒューマン・セクシュアリティhuman sexualityの教育である、ということになる。このセクシュアリティという概念は、1964年に設立された、「アメリカ性情報・教育評議会」(SIECUS)の創立者であるM・カルデローンMary Steichen Calderone(1904―98)と、L・カーケンダールLester Allen Kirkendall(1904―91)らによって提唱されたもので、現代の性教育の根幹をなすものである。それは「セックスsexが“両下肢の間にあるもの”であるのに対し、セクシュアリティは“両耳の間にあるもの”である」という表現に集約されている。つまり、それまで性教育sex educationというと、性器と性交、それに伴う生殖に関する教育ととらえられがちであったが、それを「両耳の間にあるもの」すなわち大脳にかかわる人間の性、性的存在としての人間の全生涯にわたるあり方・生き方としてとらえようというのが、ヒューマン・セクシュアリティである。これには、生殖を伴う異性間の性だけではなく、快楽としての性、乳幼児の性、思春期の性、老人の性、障害者の性、マスタベーションなど、人間の性にかかわるものすべてが含まれている。[間宮 武・村瀬幸浩]

わが国の性教育の歴史

わが国で性教育という用語が用いられたのは大正期である。生物学者、山本宣治(せんじ)が、「純科学的性教育」の必要性を唱え、同志社大学予科で「人生生物学」と題する講義を行い、1923年(大正12)には『性教育』を出版している。これは性科学の立場から、性の無知に基因する社会的悲劇を防止しようという願いから発したもので、山本は安田徳太郎の協力を得て、わが国初の青年の性生活調査も行っている。山本の性教育の理念は、欧米の理念を取り入れた現代の性教育に匹敵するものであったが、当時は学界からも強い批判を受け、受け入れられなかった。山本のほかにも金沢医科大学の星野鐵男(てつお)や、産婦人科医の太田典礼(てんれい)が性教育や性科学の提唱を試みたが、当時の時代のもとで、その芽は育つことがなかった。
 一方、1923年前後、大正デモクラシーの気運にのって自由恋愛が叫ばれ、自由主義的な風潮が若者たちの間に浸透してきたことに対処して、性の純潔を強調する動きが生まれてきた。たとえば女子教育家の市川源三は純潔教育の必要を説き、『婦人公論』に自説を連載するのと同時に、鴎友(おうゆう)学園高等女学校校長として自ら教壇で実践を試みた。また日本キリスト教婦人矯風会がオールズGenevieve Davis Olds(1874―1939)の『正しい性教育』を出版した。いずれも自由恋愛の誘惑から若い女性を守り、一夫一婦制の秩序を維持する貞淑な女性を育てる教育をねらいとするものであった。これらの流れは、第二次世界大戦後、性道徳の高揚や性の純潔性の強調という形でその影響を残した。1947年(昭和22)当時の文部省社会教育局長名の通達「純潔教育の実施について」がそれである。翌年「純潔教育委員会」が発足し、以後「純潔教育」は社会教育および学校教育における用語として普及していった。
 学校教育においては、1947年の「中等学校保健計画実施要領」(文部省保健体育局試案)のなかで「成熟期への到達」が示され、生理面を中心とした性の指導が行われるようになった。こうしたなかで、都道府県教育委員会や市教育委員会の手によって、指導資料の作成や実験学校指定による研究が盛んに進められ、栃木県宇都宮市における「全国純潔教育研究集会」(1965)や「関西純潔教育研究会」(1966)の発足をみた。しかし、1958年、69年と続く学習指導要領の改訂で、学校での性に関する指導内容は分散、削除の傾向をたどっていった。したがって、70年前後には「純潔教育」から「性教育」へ言い換えられるようになったが、学校教育としてはほとんど実を結ばなかった。
 高度成長時代の急激な社会・経済的な変化は、あらゆる面で欧米諸国と同じような社会現象を生み、性の分野もその例に漏れず、性意識の急速な変化、性行動の若年化という事態を引き起こした。こうした状況にあわせるべく、1972年(昭和47)には、わが国で初めて法人格をもった性教育の啓発団体として「財団法人日本性教育協会」が文部大臣の認可のもとに設立された。日本性教育協会は、当時の総理府青少年対策本部の委託による全国規模の青少年の性行動調査を74年に開始し(翌年以降は同協会による独自調査)、内外の性教育資料の収集、性教育研究大会の定期開催、性教育に関する情報誌の発行など、わが国における性教育センターの役割を果たした。この活動のなかから、81年に性教育の研究・実践をより活発にしていくために「全国性教育研究団体協議会」が結成され、性教育の普及に力が注がれることとなった。また、82年には民間の性教育研究団体である「“人間と性”教育研究協議会」が設立され、時代の変化を見つめつつ、子供の現実に根ざした性教育の実践の追求が行われるようになった。[間宮 武・村瀬幸浩]

学校における性教育

学校で行われる性教育は、教育基本法第1条に示された学校教育の理念に沿って、「幼児・児童・生徒の発達過程に応じて、性に関する科学的な知識や社会的なルールについて学ばせると同時に、性に対する個人の自覚を深め、豊かな情操と健全な態度を培い、社会的人格の完成を目ざす教育である」ということができる。学校での性教育は、教育課程に位置づけられた、主として学級を単位として行う指導と、個々の児童・生徒に対する個人指導によってなされなければならないとするものの、現行の学習指導要領においては、性教育に関して明確な位置づけがなされておらず、残念ながら現在の学校における性に関する指導内容は、内容相互の関連性や系統性に乏しいといわざるをえない。
 現段階では学校において性教育を実施するにあたって、およそ次の三つの指導方式がとられている。一つは、性教育のカリキュラムを構成して系統的に指導する方式(特設型)。一つは、各教科、道徳(小・中学校)、特別活動、学校行事などの機会をとらえて、性に関し適時適切な指導を行う方式(機会型)。もう一つは、機会的指導を原則としながらも、とくに必要と思われる内容については特別の単元を設定して行う方式(付加型)である。全国的にみると、小学校では女子に対する初潮(初経)指導や男女協力などを盛り込んだ付加型が多く、中学校では機会型が多い。特設型は少数だが、やや増加しつつある。高校では、望まない妊娠をめぐる指導や性感染症予防などについて外来講師による単発的指導、保健・生物・社会科などの機会的指導が多い。
 こうしたなか、1992年(平成4)に学習指導要領の大きな改訂が行われ、小学校の保健学習のなかに性に関する内容が位置づけられ、教科書にも記述されることとなった。このことは性に関する指導を養護教諭に委ねがちであった学校現場に、大きな衝撃を与えることになった。そして、これがきっかけとなり「性教育ブーム」ともいうべき現象が起き、学校は大いに揺れ、対応を迫られることとなった。こうしたことは、人間の性が初めて教育の取組みとして論じられた貴重な機会であり、これにより、性教育は学校教育の一分野として位置づけられるべきであるという考え方がほぼ定着した。しかし、カリキュラム上の明確な時間が示されず、各学校まかせとなっていることもあり、ほかの多くの教育課題が山積みしている事情から、学校として確実に取組んでいるところが多くあるとはいいがたいのが現状である。[間宮 武・村瀬幸浩]

領域・内容

性教育は生物学的側面と人間学的な側面を含み、性生理面、性心理面、性社会面の三つの領域にまたがっている。「性生理面」での内容は、男女のからだの成長の変化、男女のからだの違いや二次性徴、月経と射精、受精、妊娠、出産、育児、エイズなどの性感染症、避妊、などがある。「性心理面」での内容は、性別意識とジェンダー、男女の性的欲求と性行動の特徴と個別性、異性意識の発達、男女の協力、男女交際、性の悩みと不安、同性愛などの多様な性、などである。「性社会面」での内容は、男女の平等、家庭・社会における男女の役割、性文化・性情報への対応、結婚と家族、家族計画と人口問題、性加害と性被害、性にかかわる社会問題(性暴力・離婚・シングルライフ・人工妊娠中絶・体外受精・売買春など)などが考えられる。以上の内容を幼児・児童・青年を対象として、発達段階や理解力を考慮して、内容、程度、方法を精選したうえで行われることが望ましい。また、これらの教育の機会は学校にとどまらず、社会教育の内容としても積極的に位置づけられることが重要であろう。[間宮 武・村瀬幸浩]

今日的課題と展望

価値観が多様化している現代における性教育の課題は、個々人の生き方の選択と性的意志決定のための力を育てることであるといえる。性はひとりひとりに備わった人権であり、それはだれからも支配されたり、また支配してはならないものである。人がいつどのような形でだれと性行動に踏み出すかは、その人のもつ自己決定権の行使の問題である。性教育の本来の役割は、その権利がより妥当な形で行使できるよう援助し、自己決定力を育てていくことにあると考えてよい。
 ところで、性をその人固有の人権と考えるとき、まずひとりひとりの性別、性的指向などの多様性という問題に直面することになる。20世紀末にはこの性の多様性に対して人権と科学の光があてられ、その扱いが大きく変容したことをあげておかねばならない。その一つは、同性愛がそれまでの精神障害の扱いから除外され(1987年アメリカ精神医学会の精神障害の手引きから「同性愛」の用語を除外、1993年には国連世界保健機構の疾病分類から除外)、一つの性的指向として受け入れられたことである。それによって同性のパートナーを法的に認める国も現れはじめている。また、性器による性別と自らの性別自認が食い違う、いわゆる性同一性障害の人々に対し一定の手続、診断、治療を経たうえで、場合によっては性別再指定のための性転換手術がわが国でも認められるようになった。これらのことは、従来の性教育のあり方に大きな変更を迫っていると考えられる。また、両性の関係のあり方についても、国連総会において採択された女性差別撤廃条約(1979)が85年(昭和60)に日本でも発効し、さらに国連で女性に対する暴力撤廃宣言(1993)がなされたのを大きな契機として、法的措置の検討を含めた根本的な見直しが始まった。
 わが国においても、男女雇用機会均等法の制定(1985)およびその改訂(1997)、さらに男女共同参画社会基本法の成立(1999)など、固定的な性別役割分担の問い直しが始まった。学校においても、家庭科の男女共修、男女混合名簿の推進や、「男らしさ」「女らしさ」の枠組みを押しつけない指導などいわゆるジェンダーフリー(社会的、文化的な性別にこだわらない考え方)の教育が進められるようになった。今日、若年層の性行動の活性化がつとに明らかになっているが、その裏側で進行しているさまざまな性感染症や、望まない妊娠からの人工妊娠中絶の増加などは憂慮すべき問題である。また、HIV感染症の広がりの懸念などまさしく人類的な課題といわねばならない。このように性とジェンダーをめぐる歴史的な転換期を迎えるなかで、学校教育、性教育への課題はますます多く、大きくなっている。指導計画の策定、指導時間の確保に加え、指導者の養成など緊急を要する課題は多いが、残念ながらそうした取組みは立ち遅れているのが現状といわざるをえない。[村瀬幸浩]
『朝山新一著『性教育』(1967・中央公論社) ▽村松博雄・岡本一彦著『性教育学入門』(1977・新宿書房) ▽ジョン・マネー、パトリシア・タッカー著、朝山新一訳『性の署名』(1979・人文書院) ▽間宮武著『性差心理学』(1979・金子書房) ▽財団法人日本性教育協会編『改訂 性教育指導要項解説書』(1984・小学館) ▽ミルトン・ダイアモンド、アーノ・カーレン著、田草川まゆみ訳『性教育学講座 人間の性とは何か』(1984・小学館) ▽村瀬幸浩著『21世紀・性と性教育のゆくえ』(1998・大月書店) ▽村瀬幸浩編著『ニュー・セクソロジー・ノート』新版(1999・十月舎) ▽村瀬幸浩著『性教育が深まる本』(1999・十月舎)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

性教育の関連キーワード青年期早熟関心事症候青少年肉体的青少年赤十字勤労青少年の日退行期非貿易的関心事項(NTC)

今日のキーワード

大統領補佐官

各種政策の立案その他に関し,側近として大統領に助言する役職だが,実質上はブレーン,顧問として多面的な役割を担う。憲法で定められた唯一の行政責任者である合衆国大統領は,強大な権力を持つにもかかわらず,議...

続きを読む

コトバンク for iPhone

性教育の関連情報