デジタル大辞泉 「恋う」の意味・読み・例文・類語
こ・う〔こふ〕【恋う】


1

「我が背子に―・ふれば苦し
2 季節や植物などを賞美する。めでる。
「
[補説]古くは上二段であるが、中世末期ごろから「千々のあはれは妻こふ鹿の音」〈松の葉・三〉のように四段に活用する例が見られる。また、現代でも「この祖母を恋いる事を忘れて」〈三重吉・小鳥の巣〉のように上一段に活用する例がまれに見られる。
[類語]慕う・偲ぶ・思う
( 1 )上代では、ふつう「に」を上に伴う。「を」を伴うようになるのは中古からである。
( 2 )特殊な活用の例として、「中華若木詩抄‐中」の「天下を中興せんと思た風を恋ふこと」、「歌謡・松の葉‐三・のんやほぶし」の「千々のあはれは妻こふ鹿の音」などのように、四段活用型の連体形の用例も散見する。
( 3 )現代では、まれに「改正増補和英語林集成」の「オンナヲ koiru(コイル)」や「小鳥の巣〈鈴木三重吉〉上」の「自分がこの祖母を恋ひる事を忘れて出てゐる間に」のように、上一段活用化した用例が見られる。