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愛護若 あいごのわか

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

愛護若 あいごのわか

説経節「愛護若」の主人公
左大臣二条清平の子。13歳で母に死別。継母の邪恋をこばんだため汚名をきせられ,さまざまな責め苦にあい,ついに自殺。のち疑いはれて日吉(ひえ)山王大権現(ごんげん)としてまつられる。「愛護若」は浄瑠璃(じょうるり),歌舞伎,音曲に影響をあたえた。

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世界大百科事典 第2版の解説

あいごのわか【愛護若】

説経節の曲名。六段構成で浄瑠璃の形式であるが古説経の印象がある。内容が複雑で前後二つの部分から成る。主人公愛護若が父二条蔵人清衡の後妻雲井の前の邪恋を拒んだため,激しい憎しみを買って館を追放されるまでの前半と,館を出た愛護若が,叔父の阿闍梨(あじやり)のいる叡山を訪ね,そこで天狗と間違えられて乱暴され,失意と絶望から山中を放浪した果てに霧降滝(きりうがたき)で投身自殺する後半とである。数奇な出来事を通して人の心の暖かさと生きることの厳しさを体験するところにこの作の主題がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

愛護若
あいごのわか

説経浄瑠璃(じょうるり)の曲名。成立年は不明であるが、1661年(万治4)正月刊行の版本が残されている。『今昔物語』巻4にある「狗拏羅(くなら)太子眼(まなこ)を抉(くじ)り法力に依(よ)りて眼を得たる語(こと)」により、日吉(ひえ)山王権現の本地物として仕組んだもの。王朝時代に、二条蔵人清平(くらんどきよひら)夫妻が初瀬観音に祈願して授かった愛護若は、成長して継母(ままはは)の雲井前に恋慕されたが、それを拒絶したため、その報復として二条家伝来の宝物盗難の犯人の汚名をきせられ、そのうえ、さまざまな計略で苦しめられる。愛護若は、絶望と悲憤の果てに父への遺書を小袖(こそで)の袂(たもと)に入れて木の枝にかけ、比叡山(ひえいざん)東麓(とうろく)の霧生の滝に身を投げて死ぬ。その後、愛護若は疑いが晴れて山王権現として祀(まつ)られるという内容。『かるかや』『さんせう太夫(だゆう)』などとともに五説経の一つとして親しまれ、後の浄瑠璃、歌舞伎(かぶき)、音曲に強い影響を与えた。改作物として竹本義太夫(ぎだゆう)の正本『都の冨士(ふじ)』、武蔵権太夫(むさしごんだゆう)の正本『日吉山王(ひえさんのう)の本地』、紀海音(きのかいおん)の『愛護若塒箱(ねぐらのはこ)』、近松半二らの『愛護若名歌勝鬨(めいかのかちどき)』などが現れ、とくに菅専助(すがせんすけ)らの『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』の構想には、説経浄瑠璃『愛護若』の大きな影響がみられて興味深い。[関山和夫]
『『愛護若』(荒木繁・山本吉左右編・注『説経節』所収1973・平凡社)』

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