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吸収不良症候群 キュウシュウフリョウショウコウグン

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デジタル大辞泉の解説

きゅうしゅうふりょう‐しょうこうぐん〔キフシウフリヤウシヤウコウグン〕【吸収不良症候群】

脂肪・糖質・たんぱく質ビタミンなどの栄養素の消化・吸収が阻害される疾患の総称。自己免疫性胃炎・膵機能不全肝硬変クローン病などさまざまな疾患で発症する。MAS(malabsorption syndrome)。

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栄養・生化学辞典の解説

吸収不良症候群

 →吸収不良症候

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家庭医学館の解説

きゅうしゅうふりょうしょうこうぐん【吸収不良症候群 Malabsorption Syndrome】

[どんな病気か]
 栄養素がうまく吸収されず、栄養障害をおこす症候群の総称です。
 原因はさまざまですが、腸上皮(ちょうじょうひ)での膜消化(まくしょうか)がうまくいかない原発性腸疾患によるもの、手術、炎症、腫瘍(しゅよう)により腸粘膜が障害された続発性腸疾患によるもの、肝臓、胆道(たんどう)、膵臓(すいぞう)の病気により膵液や胆汁の分泌(ぶんぴつ)が障害されたもの、栄養素の吸収経路である門脈(もんみゃく)やリンパ管が障害されたもの、という4通りに大きく分かれます。
 このため、治療法も原因によって異なります。
 日本では、胃切除後、乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)、短腸症候群(たんちょうしょうこうぐん)(小腸(しょうちょう)を広範囲に切除したために、消化吸収障害をおこすもの)、クローン病、腸結核(ちょうけっかく)、アミロイドーシス、強皮症(きょうひしょう)、腸内細菌の異常繁殖、抗がん剤放射線障害、膵胆道疾患(すいたんどうしっかん)にともなうものがよくみられます。
[症状]
 下痢(げり)、脂肪便(しぼうべん)、腹部膨満感(ふくぶぼうまんかん)など消化吸収障害によるものや、体重減少、やせ、成長障害、浮腫(ふしゅ)、腹水(ふくすい)、貧血(ひんけつ)、皮下出血(ひかしゅっけつ)、骨軟化症、口内炎、末梢神経炎(まっしょうしんけいえん)、無月経(むげっけい)、テタニー(強いひきつけ)、眼症状など、各種の栄養素やビタミンの欠乏によるものなどがみられます。
 とくに子どもでは、成長障害や二次性徴低下に注意しなければなりません。
[検査と診断]
 厚生省(現厚生労働省特定疾患調査研究班が定めた低栄養状態の基準と消化吸収機能の結果とを評価して診断します。
 低栄養状態とは、血清(けっせい)たんぱくが1dℓあたり6g以下、血清コレステロールが1dℓあたり120mg以下であることが定められています。
 消化吸収機能検査は、糖分の多い飲料水を飲んで行なう経口ぶどう糖負荷試験やキシロース負荷試験が広く用いられ、乳糖不耐症には乳糖負荷試験が行なわれます。
 脂肪の検査では糞便(ふんべん)の脂肪染色や糞便中の脂肪定量が行なわれます。また、ビタミンB12の吸収試験や骨塩定量検査も参考として行なわれます。
 原因疾患や患部を調べるにはCT、MRI、X線透視、内視鏡による生検(せいけん)も必要です。
 最近は免疫不全症候群(めんえきふぜんしょうこうぐん)(エイズなど)にともなう症例もみられるので、これからは免疫学的検査も必要になるでしょう。
[治療]
 原因疾患の治療が原則ですが、治療法がない疾患も多くあります。
 食事療法、栄養素補充療法もありますが、なるべく口から食べて治療するのが原則です。
 食事療法は、乳糖不耐症やセリアック病小児脂肪便症)などでは、制限食が有効です。
 また、高エネルギーで低脂肪の食事療法、成分栄養法、完全静脈栄養法などの栄養素補充療法があります。
 一般にこの症候群の下痢には、ふつうの止痢薬(しりやく)や抗コリン薬があまり効かないので、代わりに、ロペラマイドや麻薬の使用、消化酵素(しょうかこうそ)の大量療法が行なわれます。

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世界大百科事典 第2版の解説

きゅうしゅうふりょうしょうこうぐん【吸収不良症候群 malabsorption syndrome】

タンパク質,脂肪,糖質,ビタミン,無機質などの消化吸収障害によって,それぞれの栄養素が欠乏し,低栄養や栄養失調の状態がひき起こされる病態を一括した呼び方。栄養素の吸収の過程には,腸管腔内での消化,小腸粘膜細胞での吸収,吸収された栄養素のリンパ管または血管を介した運搬の三つの過程が含まれている。栄養素が十分吸収されるためには,これらの過程が円滑に行われることが必要であり,それらのいずれの過程に異常が起こっても吸収が障害され吸収不良症候群がひき起こされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

吸収不良症候群
きゅうしゅうふりょうしょうこうぐん

栄養素の消化吸収障害のある状態の総称で、結果として栄養失調をきたしている。症状としては、慢性下痢、脂肪便、体重減少、るいそう(やせすぎ)、無力倦怠(けんたい)感、手足の浮腫(ふしゅ)、腹部膨隆、鼓腸、食欲不振、各種の貧血、皮膚炎、口内炎など多彩な変化がみられるが、いずれもタンパク質、脂肪、各種ビタミン、無機質の吸収障害による欠乏症状である。症状の中心となるのは低タンパク血症による手足の浮腫で、顕著なときには腹水や胸水を現すようになる。脂肪便は糞便(ふんべん)中の脂肪排出量の異常増加で、欧米では吸収不良症候群の中心症状とされているが、食事脂肪摂取量の少ない日本では糞便中脂肪量が1日に10グラムを超すことは、むしろまれである。診断検査法として消化吸収試験が行われるが、やや過量の食事に相当する量の栄養素を負荷してその消化吸収障害を検出する必要がある。
 吸収不良症候群はさまざまな病気や病的状態においてみられる。(1)原因疾患のない原発性吸収不良症としては、セリアック・スプルーceliac sprue病や熱帯性スプルー病、刷子縁膜(さっしえんまく)酵素欠損症(小腸の上皮細胞の刷子縁膜にある各種の酵素が欠乏しているもので、ラクターゼ欠損症など)、先天性無リポタンパク血症などがある。(2)吸収面積減少によるものとしては、小腸の広範な病変であるクローン病、腸結核、強皮症などのほか、小腸切除後や腸管バイパス形成術後などがある。(3)腸管運動亢進(こうしん)としては、カルチノイド症候群がある。(4)腸内細菌叢(そう)の異常としては、盲嚢(もうのう)症候群(ブラインドループ症候群)がある。(5)消化障害によるものとしては、消化に関与する胃、膵(すい)、胆嚢の病気や切除術後におこるものがある。
 治療としては、原因療法のほか、共通した治療法として栄養補充療法が行われる。これには、アミノ酸混合物などのように消化吸収されやすい栄養素からなる成分栄養食の経腸栄養療法などが含まれる。[細田四郎]

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世界大百科事典内の吸収不良症候群の言及

【消化不良】より

消化の過程が障害されて食物の分解が十分に行われない状態を消化不良というが,これは同時に吸収不良をともなうので,多くの場合吸収不良症候群としてまとめられ,消化不良という言葉は成人の単一病名としてはあまり用いられていない。 消化液の不足をもたらすものとして,肝臓・胆道疾患(肝炎や胆石,腫瘍による閉塞性黄疸のように胆汁分泌が障害されるもの),膵臓疾患(膵炎のように膵外分泌が障害されアミラーゼ,リパーゼなどが不足する場合),胃切除(胃手術により胃酸,ペプシンなどが不足する場合)などがあり,これらが消化吸収不良の原因となる。…

【小腸】より

…その他ごくまれに平滑筋肉腫をみることがある。(4)吸収不良症候群 小腸における吸収障害を主徴とする疾患を総称して吸収不良症候群という。このうち小腸の粘膜上皮細胞自体に欠陥があり著しい絨毛萎縮をきたすものにスプルーsprue(特発性吸収不良)がある。…

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