国際競争力(読み)コクサイキョウソウリョク(その他表記)international competitiveness
international competitive strength

デジタル大辞泉 「国際競争力」の意味・読み・例文・類語

こくさい‐きょうそうりょく〔‐キヤウサウリヨク〕【国際競争力】

一国産業企業、あるいはその製品サービスが、国際市場シェア拡大し、市場影響を与える力。また、国や都市が、他国から企業や人材を呼び込み、経済的な繁栄を達成する能力

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「国際競争力」の意味・わかりやすい解説

国際競争力 (こくさいきょうそうりょく)
international competitiveness
international competitive strength

狭義には,一国の個別商品が国内あるいは海外市場で与えられた為替相場もとで,市場におけるシェアを拡大できるかどうかをさす。より広義には,商品グループ,産業あるいは全輸出品についても使われる。国際競争力は,当該商品の価格が相対的に安価であるためにシェアを拡大する場合の価格競争力と,商品の質的な優秀さ,納期の短さ,デザイン・ブランドの信用度といった非価格要因による非価格競争力とがある。各国の国際競争力を基本的に規定するのは,その商品をいかに安価に生産するかという生産コスト要因であり,たとえば生産に携わる労働者の熟練度,資本設備の豊富さや技術条件等が重要である。さらに自動車工作機械等では,注文や修理にいかに迅速に応じうるかの非価格競争力の優劣もたいせつである。

 日本は1960年代を通じ,工業製品について高い輸出増加率を実現し,世界市場でのシェアを大幅に拡大した。このようなシェアの拡大を可能にしたのは,高度成長下で各産業,ことに鉄鋼化学といった部門での生産性上昇がいちじるしく,国際競争力が強化されたためである。70年代に入ると,基礎的な関連部門の拡充を基盤に,熟練度の高い労働者が均質性の高い家電製品,自動車や機械を製造し,他の先進諸国よりも高い輸出伸長を続けた。その際,海外市場での販売網の整備や市場調査による消費者ニーズへの対応といった非価格競争力増強への努力がなされたことはもちろんである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国際競争力」の意味・わかりやすい解説

国際競争力
こくさいきょうそうりょく

国際経済取引における競争力の強さのこと。自由貿易のもとでは国際競争力が強いほど当該国の輸出は増加する。国際競争力は,価格競争力と非価格競争力に大別される。前者はより低い価格で輸出品を供給する能力であり,輸出相対比価 (当該国の輸出価格÷世界工業品輸出価格) がその指標となる。技術進歩による生産性上昇や豊富で安価な人的・物的資源があれば価格競争力の強さにつながる。後者は製品のデザイン,品質,性能,ブランド,信頼性,市場への適合度,高度の技術水準や資源の差により他国ではつくれない場合など製品の特殊性に帰因する競争力をさす。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android