(読み)レイ

精選版 日本国語大辞典の解説

もどし【戻】

〘名〙 (動詞「もどす(戻)」の連用形の名詞化) もどすこと。返すこと。
※世相(1946)〈織田作之助〉七「度胸のある奴は張ってくれ。十円張って五十円の戻しだ」

もど・す【戻】

〘他サ五(四)〙
① もとへ返す。もとの状態・場所・所有者などに返す。〔名語記(1275)〕
※広本拾玉集(1346)四「今はとてまきの嶋舟もどさなんすむもかひなきうぢの橋守
② 飲食したものをはく。へどをはく。嘔吐する。
※こんふえっしょなりうむ(懺悔録)(1632)ごばんに就いて「酒ももどし、気迄も少し損ぜられまらした」
③ 子どもが多いときなどに、親が自分の子を殺す。まびく。〔随筆・耳嚢(1784‐1814)〕

もとら・す【戻】

〘他サ四〙 =もとらかす(戻━)
※大日経治安二年点(1022)四「風火輪を差ひに戻(モトラシ)て之を申べしむ」

もどり【戻】

〘名〙 (動詞「もどる(戻)」の連用形の名詞化)
① もとへもどること。もとの状態に復すること。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※当世少年気質(1892)〈巖谷小波〉二「十歳の神童は十五の才子、廿歳過ぎれば戻(モド)りの凡人となってしまうも」
② 帰り。また、帰り道。帰路。
※虎明本狂言・柑子俵(室町末‐近世初)「かたじけなふござる、もどりによりませう」
人形浄瑠璃や歌舞伎で、敵役と思われた人物が、劇の進行につれ、善心にもどって本心を打ち明けること。また、その演技や演出。
④ 鉤(かぎ)や釣り針の端の逆にとがって出た部分。物を刺してひっかけるためのもの。〔和英語林集成(再版)(1872)〕
⑤ 離縁されたり夫に死別したりして実家に戻っていること。また、その女。出戻り
雑俳・不二の高根(1725)「ワキ狂言・すてられもせぬ・去娘(モトリ)に入聟」
⑥ 相場の大勢が下落に向かっていたのが一時少し上がること。

もど・る【戻】

〘自ラ五(四)〙 (「もとる(戻)」と同語源)
① 家に帰る。帰宅する。
※源氏(1001‐14頃)宿木「常陸の前司殿の姫君の初瀬の御寺に詣でてもとり給へるなり」
② もとの場所・方向へ向かって逆に進む。もとへかえる。引きかえす。
※為忠集(鎌倉中か)「ぬしもなき夏野の原の放れ駒心の儘にかけつ戻りつ」
③ もとの状態にかえる。旧に復す。
※俳諧・俳諧古選(1763)付録「又水にもどるも早し初氷〈超雪〉」
④ もうけた利益がなくなる。もうけがふいになる。
※浄瑠璃・長町女腹切(1712頃)上「夜なべさしょにも此油の高さでは儲ける程皆もどる」
⑤ 取引関係で、下落していた相場が一時騰貴する。〔取引所用語字彙(1917)〕

もとろか・す【戻】

〘他サ四〙 ゆがめる。まげる。
霊異記(810‐824)上「故(ことさら)に己が口を(モトロカシテ)、音(こゑ)を訛(よこなま)りて効(まね)び読む。〈国会図書館本訓釈 毛トロカシテ〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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