精選版 日本国語大辞典 「戻」の意味・読み・例文・類語
もどり【戻】
※虎明本狂言・柑子俵(室町末‐近世初)「かたじけなふござる、もどりによりませう」
⑤ 離縁されたり夫に死別したりして実家に戻っていること。また、その女。出戻り。
※雑俳・不二の高根(1725)「ワキ狂言・すてられもせぬ・去娘(モトリ)に入聟」
もど・る【戻】
〘自ラ五(四)〙 (「もとる(戻)」と同語源)
① 家に帰る。帰宅する。
② もとの場所・方向へ向かって逆に進む。もとへかえる。引きかえす。
※為忠集(鎌倉中か)「ぬしもなき夏野の原の放れ駒心の儘にかけつ戻りつ」
③ もとの状態にかえる。旧に復す。
※俳諧・俳諧古選(1763)付録「又水にもどるも早し初氷〈超雪〉」
④ もうけた利益がなくなる。もうけがふいになる。
⑤ 取引関係で、下落していた相場が一時騰貴する。〔取引所用語字彙(1917)〕
もど・す【戻】
〘他サ五(四)〙
※広本拾玉集(1346)四「今はとてまきの嶋舟もどさなんすむもかひなきうぢの橋守」
② 飲食したものをはく。へどをはく。嘔吐する。
※こんふえっしょなりうむ(懺悔録)(1632)ごばんに就いて「酒ももどし、気迄も少し損ぜられまらした」
③ 子どもが多いときなどに、親が自分の子を殺す。まびく。〔随筆・耳嚢(1784‐1814)〕
もとろか・す【戻】
〘他サ四〙 ゆがめる。まげる。
※霊異記(810‐824)上「故(ことさら)に己が口を(モトロカシテ)、音(こゑ)を訛(よこなま)りて効(まね)び読む。〈国会図書館本訓釈 毛トロカシテ〉」
もとら・す【戻】
〘他サ四〙 =もとらかす(戻━)
※大日経治安二年点(1022)四「風火輪を差ひに戻(モトラシ)て之を申べしむ」
もどし【戻】
〘名〙 (動詞「もどす(戻)」の連用形の名詞化) もどすこと。返すこと。
※世相(1946)〈織田作之助〉七「度胸のある奴は張ってくれ。十円張って五十円の戻しだ」
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