六訂版 家庭医学大全科 「手における変形性関節症」の解説
手における変形性関節症
てにおけるへんけいせいかんせつしょう
Osteoarthritis of the hand and the finger
(運動器系の病気(外傷を含む))
どんな病気か
長年の使用や繰り返される負担によって、軟骨がすり減ったり、骨の変形が生じたりする病気です。関節リウマチや、ほかの
原因は何か
指の先端の第一関節(DIP関節)に生じる変形性関節症はへバーデン
指の第二関節(PIP関節)に生じる変形性関節症はブシャール結節と呼ばれ、へバーデン結節の20%程度に合併します。
母指の付け根の関節(母指CM関節、MP関節)の変形性関節症や、手首の関節(手関節)の変形性関節症では、骨折、脱臼などの外傷や、過度の使用によって生じることがあります。
症状の現れ方
長時間の作業など無理をした時などに
指の先端の第一関節(DIP関節)に生じるへバーデン結節では、変形が進行する時期には
母指の付け根の関節(母指CM関節、MP関節)の変形性関節症では、物をつまむ動作で母指の付け根に痛みが出ます。
手首の関節(手関節)の変形性関節症では、手を使用した時の痛み、手首のはれ、運動制限などが徐々に出現します。
検査と診断
診断は、はれや痛みの部位の診察とX線検査で行います。X線検査では、関節軟骨のすり減りや骨の増殖(
治療の方法
まずは痛みに対して安静、装具、湿布、塗り薬、痛み止めの内服薬などを用いた保存的治療を行います。痛みが強い場合には、一時的に炎症と痛みを和らげるため、局所麻酔薬とステロイド薬の注射を行う場合もあります。
変形のため日常生活に支障がある場合には、機能的な形で関節を固定する手術を行う場合があります。人工関節や関節の形を整える関節形成術といった手術も行われます。
病気に気づいたらどうする
指や手首の痛み、変形、はれが続く場合には、変形性関節症、関節リウマチやほかの膠原病の可能性もあるため、整形外科やリウマチ膠原病内科の受診をすすめます。
尾崎 誠
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報